第40回 午後 問132
臨床栄養学
腹膜透析に関する問題
52歳、女性。事務職。CKD。身長150 cm、体重53 kg、標準体重50 kg。血圧138/86 mmHg。透析導入前の血液検査値は、尿素窒素62 mg/dL、クレアチニン5.6 mg/dL、カリウム4.0 mEq/L。腎機能がさらに低下したため、腹膜透析を開始することとなった。この患者の腹膜透析開始時における1日当たりの目標栄養量に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1エネルギーは、2,500 kcalとする。
- 2たんぱく質は、30 gとする。
- 3カリウムは、制限しない。
- 4リンは、1,500 mgとする。
- 5総水分は、前日尿量とする。
答えと解説を見る
✓ これが正解3カリウムは、制限しない。
解説
腹膜透析では、カリウムは原則として制限しません。
腹膜透析は、腹腔に透析液を入れ、腹膜を通して老廃物や余分な水分、電解質を取り除く方法です。透析液は毎日続けて交換されるため、カリウムが持続的に除去され、血液透析に比べて高カリウム血症になりにくい特徴があります。日本腎臓学会の慢性腎臓病に対する食事療法基準でも、腹膜透析ではカリウムは制限なしとされ、高カリウム血症を認める場合に血液透析と同じように制限します。この患者のカリウムは4.0 mEq/Lと正常範囲なので、制限しないという記述が最も適当です。
ほかの目標量は、エネルギーが多すぎる、たんぱく質とリンの量が基準から外れている、水分の目安の立て方が腹膜透析に合っていない、という点で誤りです。腹膜透析では、透析液からのブドウ糖の吸収や、透析液へのたんぱく質の喪失も考えて栄養量を決めます。
透析の栄養管理は、血液透析と腹膜透析でカリウムと水分の考え方が違う点に注意すると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1エネルギーは、2,500 kcalとする。:腹膜透析のエネルギーは、標準体重50 kgに30〜35 kcalを掛けた1,500〜1,750 kcalほどから、透析液から吸収されるブドウ糖の分を差し引いて決めます。2,500 kcalでは多すぎて、体重の増加や脂質異常を招きます。
- 2たんぱく質は、30 gとする。:腹膜透析では透析液にたんぱく質やアミノ酸が失われるため、たんぱく質は標準体重1 kgあたり0.9〜1.2 g、この患者では45〜60 gが目安です。30 gでは不足し、低栄養のおそれがあります。
- 4リンは、1,500 mgとする。:リンは、たんぱく質1 gあたり15 mg以下が目安で、たんぱく質45〜60 gなら675〜900 mg以下になります。1,500 mgでは多すぎて、高リン血症や骨・血管の障害につながります。
- 5総水分は、前日尿量とする。:腹膜透析の水分は、透析で取り除ける除水量に尿量を足した量を目安にします。前日の尿量だけに合わせると、除水できる分が考慮されず、必要以上に厳しい制限になります。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問132(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)