第40回 午後 問175
応用力試験
慢性膵炎に関する問題
次の文を読み「175」、「176」、「177」に答えよ。
Kクリニックに勤務する管理栄養士である。
患者は、48歳、男性。会社員。28歳頃から多量の飲酒習慣があり、急性膵炎の既往があった。脂質異常症はなかった。6か月前から軽度の腹痛を繰り返していたが、痛みが増強し急性期病院に入院した。アルコール性慢性膵炎(代償期)の急性増悪と診断され、内科的治療が行われた。症状は改善し、退院後に当院外来を紹介された。
初回診察時に、患者は「治療を受けてだいぶ元気になりました。お腹が痛くなることがありましたが、今は症状はありません。」と話した。
身長165 cm、体重54 kg、BMI 19.8 kg/m²。空腹時の血液検査値は、血糖78 mg/dL、HbA1c 6.0%、総コレステロール168 mg/dL、HDLコレステロール42 mg/dL、トリグリセリド135 mg/dL、アミラーゼ112 U/L(基準値:37~125 U/L)、CRP 0.2 mg/dL。
外来で医師から禁酒を指導されるとともに、外来栄養食事指導の依頼があった。患者の1日当たりの目標栄養量の組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
エネルギー(kcal/日)―脂肪(g/日)
- 11,300―10
- 21,300―30
- 31,900―10
- 41,900―30
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✓ これが正解41,900―30
解説
エネルギー1,900kcal・脂肪30gが、この患者に適した目標量です。
慢性膵炎は、膵臓に炎症がくり返し起きて、膵臓の組織が少しずつ壊れていく病気です。代償期は膵臓の働きがまだ保たれている時期で、腹痛の再発を防ぐために脂肪をとりすぎないようにしつつ、必要なエネルギーは十分にとることが栄養管理の要点です。
エネルギーは標準体重を基準に考えます。身長165cmの標準体重は1.65×1.65×22≒59.9kgで、1日あたり30〜35kcal×標準体重とすると約1,800〜2,100kcalになり、1,900kcalはこの範囲に入ります。1,300kcalでは標準体重1kgあたり約22kcalと少なすぎ、BMI 19.8の患者がさらにやせてしまいます。
脂肪は、急性増悪で入院した後であることから、腹痛を起こさないよう控えめにします。1日30gは控えめながら食事として続けられる量ですが、10gでは食べられる料理が極端に限られ、エネルギーや脂溶性ビタミンが不足するおそれがあります。なお、日本消化器病学会の患者向けガイドは、症状がないときの脂肪を1日40〜70g程度としています。この患者は急性増悪で入院した直後の初回の指導なので、選択肢の中では控えめな30gが合います。したがって、1,900kcal―30gの組合せが最も適切です。代償期は脂肪を控えめに、エネルギーは十分に、と組にして覚えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 11,300―10:1,300kcalは標準体重1kgあたり約22kcalで、やせ型の患者には足りません。さらに脂肪10gは厳しすぎる制限で、食事が続けにくくなり、脂溶性ビタミンも不足しやすくなります。
- 21,300―30:脂肪30gの設定はよいものの、1,300kcalではエネルギーが足りません。BMI 19.8でやせ気味の患者がさらに体重を落とし、栄養状態が悪くなるおそれがあります。
- 31,900―10:エネルギー1,900kcalの設定はよいものの、脂肪10gは制限が厳しすぎます。脂肪をほとんど使えないと、その熱量を食事でとること自体が難しくなり、脂溶性ビタミンの不足も招きます。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問175(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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