第40回 午後 問185
応用力試験
心臓リハビリテーションの問題
次の文を読み「184」、「185」、「186」に答えよ。
K病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、78歳、女性。4年前に慢性心不全と診断され、外来通院を行いながら、心臓リハビリテーションを受けている。慢性心不全の急性増悪による入院歴がある。通常の日常生活では症状を認めないが、買い物で重いものを運んだり、家の掃除で無理をしたりすると、疲労や動悸を自覚している。摂食嚥下機能に問題はない。
ACE阻害薬、β遮断薬、利尿薬が投与されている。
身長150 cm、体重48 kg、BMI 21.3 kg/m²。血圧118/72 mmHg、脈拍数82回/分。浮腫あり。空腹時の血液検査値は、アルブミン3.4 g/dL、血糖82 mg/dL、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.48 mg/dL、ナトリウム142 mEq/L、カリウム4.6 mEq/L、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)218 pg/mL(基準値:35 pg/mL未満)。
1日当たりの目標エネルギー量を1,400 kcalとし、外来栄養食事指導を行うことになった。
この患者の1日当たりの目標栄養量の組合せとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
たんぱく質(g/日)―食塩(g/日)
- 150―3
- 260―3
- 350―5
- 460―5
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✓ これが正解460―5
解説
たんぱく質60g・食塩5gが、この高齢の心不全患者に適しています。
慢性心不全の食事療法では、体に水分がたまるのを防ぐために食塩を控えます。ただし高齢者では、厳しすぎる減塩は食事をおいしくなくして食べる量を減らし、低栄養やサルコペニア(筋肉量と筋力の低下)を招きます。たんぱく質は、腎機能に問題がなければ、筋肉を保つために十分な量をとることが判断の軸です。
患者は78歳で、心臓リハビリテーションを受けています。クレアチニン0.48mg/dLと腎機能に問題はないので、たんぱく質を制限する理由はありません。体重48kgに対し60gは1kgあたり約1.25g、50gは約1.04gで、筋肉を保ち、リハビリの効果を高めるには60gのほうが適しています。食塩は、浮腫があるため控える必要がありますが、3gでは食事の味が薄くなりすぎて食べる量が落ちるおそれがあり、5g程度が続けやすい量です。たんぱく質60gは1,400kcalの約17%エネルギーで、日本人の食事摂取基準(2025年版)の65歳以上の目標量(15〜20%エネルギー)に入りますが、50gは約14%で下限に届きません。
したがって、たんぱく質60g―食塩5gの組合せが最も適切です。高齢の心不全患者では、減塩は続けられる範囲で、たんぱく質はしっかり、と組にして考えると選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 150―3:たんぱく質50gは体重1kgあたり約1.04gで、筋肉を保つには少なめです。さらに食塩3gは高齢者には厳しすぎ、食事がおいしくなくなって摂取量が減り、低栄養を招くおそれがあります。
- 260―3:たんぱく質60gの設定はよいものの、食塩3gは高齢者には厳しすぎる制限です。味が薄くなって食べる量が落ちると、たんぱく質やエネルギーも十分にとれなくなります。
- 350―5:食塩5gは続けやすい減塩の量ですが、たんぱく質50gは少なめです。腎機能に問題がなく、心臓リハビリテーションを行っている患者では、筋肉を保つためにもう少し多くとることが望まれます。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問185(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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