第40回 午後 問187
応用力試験
インシデントに関する問題
次の文を読み「187」、「188」、「189」に答えよ。
K特定給食施設に勤務する管理栄養士である。
K特定給食施設では、食中毒予防のため、調理従事者に向けた衛生研修会を毎月実施している。この研修会では、わが国での発生件数、患者数が多い食中毒を取り上げ、K特定給食施設におけるインシデントと関連づけて、衛生管理の教育を行ってきた。
次回の研修会は、カンピロバクター・ジェジュニを原因とした食中毒予防を目的に実施することになった。研修会で取り上げるインシデントである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 1検収記録簿に、鶏肉が12℃で納品された記録があった。
- 2下処理室の器具用の消毒保管庫が、70℃に設定されていた。
- 3フライヤーに鶏肉を投入する調理従事者が、使用後の手袋をフライヤー脇の調理台に放置した。
- 4加熱後の鶏の照り焼きを温蔵庫に入れ忘れた。
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✓ これが正解3フライヤーに鶏肉を投入する調理従事者が、使用後の手袋をフライヤー脇の調理台に放置した。
解説
鶏肉に触れた手袋の放置は、二次汚染につながるインシデントです。
カンピロバクター・ジェジュニは、鶏肉などの食肉に付いていることが多い食中毒菌です。少ない菌数でも発症し、生や加熱不足の鶏肉のほか、鶏肉に触れた手や器具を通して他の食品が汚染される二次汚染が主な原因になります。研修で取り上げるインシデントは、この菌の広がり方に関わるものを選ぶことが決め手です。
フライヤーに生の鶏肉を投入していた調理従事者の使用後の手袋には、鶏肉の菌が付いているおそれがあります。それを調理台に放置すると、台の上で加熱後の食品や器具に菌が移り、二次汚染が起こり得ます。カンピロバクター・ジェジュニの食中毒を防ぐ研修の題材として、最も適切なインシデントです。
インシデントを選ぶときは、原因菌が何に付いているか、どう広がるか、どの条件で増えるかという特徴と結びつけて考えると、研修のねらいに合った題材を選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1検収記録簿に、鶏肉が12℃で納品された記録があった。:鶏肉が12℃で納品されたことは食肉の保存温度の基準を上回る問題ですが、カンピロバクター・ジェジュニは一般に体温に近い温度でないとほとんど増えない菌です。この菌の対策の題材としては、二次汚染の場面のほうがねらいに合っています。
- 2下処理室の器具用の消毒保管庫が、70℃に設定されていた。:器具の消毒保管庫の温度設定は、器具の殺菌が十分かどうかに関わるインシデントです。カンピロバクター・ジェジュニの主な原因である、生の鶏肉から手や器具を介した二次汚染を直接扱う題材ではありません。
- 4加熱後の鶏の照り焼きを温蔵庫に入れ忘れた。:加熱後の料理を温蔵庫に入れ忘れると、加熱後に残った菌が冷めていく途中で増えるおそれがあります。これは芽胞をつくるウエルシュ菌などの増殖に関わる問題で、カンピロバクター・ジェジュニの予防の題材としては的が外れています。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問187(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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