第110回 午後 問34
公衆衛生看護管理論
リスクコミュニケーションの問題
リスクコミュニケーションについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1地域保健法に規定されている。
- 2リスクについて双方向的な意見交換を行う。
- 3リスクに伴う住民の情緒的な不安の軽減は目的に含まれない。
- 4住民自身がリスクへの対応について主体的な選択をできるよう支援する。
- 5感染症発生時には患者ごとに年齢、住所、診断医療機関名等の詳細な情報を公表する。
答えと解説を見る
✓ これが正解2リスクについて双方向的な意見交換を行う。
✓ これが正解4住民自身がリスクへの対応について主体的な選択をできるよう支援する。
解説
双方向の意見交換と、住民の主体的な選択の支援が要点です。
リスクコミュニケーションは、健康や生活に関わるリスクについて、行政、専門家、事業者、住民などの関係者が情報や意見を互いにやりとりし、理解と信頼を深めていく取り組みです。一方的に情報を知らせる広報とは異なり、双方向であることが本質です。
リスクについて双方向的な意見交換を行うという記述は、この定義そのものなので正しい内容です。また、目的は住民を説得して特定の行動をとらせることではなく、住民が正確な情報をもとに自分でリスクを判断し、対応を主体的に選べるようにすることにあります。したがって、住民の主体的な選択を支援するという記述も正しく、この2つが正解です。リスクコミュニケーションは地域保健法で定められた仕組みではなく、住民の不安や心配に耳を傾けて和らげることも大切な目的に含まれます。感染症の発生時に個人を特定できる詳細な情報を公表することは、差別や偏見を招くおそれがあるため避けるべきとされています。
リスクコミュニケーションは、双方向・信頼・主体的な選択、の3つの言葉で押さえると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1地域保健法に規定されている。:リスクコミュニケーションは、食品安全や感染症、災害など幅広い分野で用いられる考え方で、地域保健法にその定義や手続きが規定されているわけではありません。法律で定められた制度ではない点で誤りです。
- 3リスクに伴う住民の情緒的な不安の軽減は目的に含まれない。:住民がリスクに対して抱く不安や心配を受け止め、和らげることも大切な目的の1つです。情緒的な側面を切り離して事実だけを伝えると、信頼関係が築けず、情報も受け入れられにくくなります。
- 5感染症発生時には患者ごとに年齢、住所、診断医療機関名等の詳細な情報を公表する。:患者ごとに年齢や住所、医療機関名などを細かく公表すると、本人が特定され、差別や偏見を招くおそれがあります。まん延防止に必要な範囲の情報を、個人が分からない形で示すことが求められます。
出典:第110回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問34(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)