第110回 午後 問50
公衆衛生看護活動展開論
結核に関する問題
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
Aさん(22歳、男性、大学生)は、10月から咳嗽が出現し、12月に増強したため、医療機関を受診したところ感染性の肺結核と診断された。診断した医師からB保健所に結核発生の届出があった。Aさんはこれまで結核の既往はない。
Aさんの居住する寮および大学がB保健所管内であり、接触者健康診断を実施することになった。B保健所の保健師がAさんに面接で確認した状況を以下に示す。
| 接触者 | 接触状況 |
|---|---|
| 同じ講義を履修している学生 | 週に2回、3時間 |
| 同じ寮で生活している学生 | トイレ、風呂、食堂を共用し、朝食・夕食を共にする |
| 別の大学の友人 | 11月に1回、3時間会食 |
| 講義を担当している大学の教員 | 週に1回、90分間 |
接触者健康診断でAさんの通う大学の学生および教員からは、10人の患者と20人の潜在性結核感染者が発見された。
Aさんの結核は薬剤耐性がなく標準治療を行っていたが、翌年4月に就職のため隣県のC保健所管内に転居することになった。
今後のAさんの管理で正しいのはどれか。
- 1通院予定の医療機関の医師からC保健所へ結核の発生届の提出が必要である。
- 2転居後のAさんへの治療中の支援はC保健所が実施する。
- 3Aさんの服薬は治療開始後1年で終了する予定である。
- 4治療終了後のAさんの管理はB保健所が実施する。
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✓ これが正解2転居後のAさんへの治療中の支援はC保健所が実施する。
解説
転居後の治療中の支援は、転居先のC保健所が担います。
結核患者の管理は、患者が住んでいる地域を管轄する保健所が担う仕組みです。感染症法第53条の12は、保健所長が結核登録票を備え、管轄区域内に居住する結核患者と結核回復者について記録すると定め、登録票の移管については厚生労働省令に委ねています。第53条の14では、保健所長が登録された人について家庭訪問などの指導を行わせると定めています。
Aさんは標準治療の途中で、就職のため隣県のC保健所管内に転居することになりました。決め手は、転居によってAさんの居住地がC保健所の管轄に変わるという点です。登録票は転居先の保健所に移され、治療中の服薬支援や家庭訪問はC保健所が引き継ぎます。したがって、転居後の治療中の支援はC保健所が実施するという記述が正しいです。発生届は診断した医師が最初に提出するもので、転居や通院先の変更で改めて出す必要はありません。結核医療の基準では、薬剤耐性のない肺結核の標準的な初回治療は、4剤併用を2か月行った後、2剤併用を開始から6か月まで続ける形で、1年ではありません。治療終了後の経過の管理も、住んでいる地域のC保健所が行います。
結核患者の支援と管理は、いつでも今住んでいる地域の保健所が担う、と押さえておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1通院予定の医療機関の医師からC保健所へ結核の発生届の提出が必要である。:発生届は、結核と診断した医師がその時点で保健所に提出するものです。Aさんはすでに届出がされて登録されており、転居先で通院する医療機関の医師が改めて発生届を出す必要はありません。
- 3Aさんの服薬は治療開始後1年で終了する予定である。:結核医療の基準では、薬剤耐性のない肺結核の初回治療は、4剤併用を2か月、続いて2剤併用を合わせて6か月までとする方法が標準です。服薬を1年で終える予定とする記述は、標準治療の期間と合いません。
- 4治療終了後のAさんの管理はB保健所が実施する。:治療を終えた後も、再発がないかを確かめる経過観察などの管理が続きますが、それを担うのも居住地を管轄する保健所です。Aさんが転居した後は、B保健所ではなくC保健所が管理を行います。
出典:第110回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問50(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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