第110回 午後 問52
個人・家族・集団・組織の支援
訪問看護に関する問題
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
Aちゃん(1歳7か月、女児)、在胎週数37週0日、出生体重1,980 gで、低酸素性虚血性脳症でNICUに入院した。生後3か月に気管切開術を受け、24時間人工呼吸器管理である。他市からの転入のため保健センターに連絡があった。転入前に1歳6か月児健康診査は受診済みである。
市保健センターの保健師が家庭訪問をしたところ、父親(40歳)は単身赴任で、母親(38歳)がAちゃんの世話をしていた。Aちゃんは支えれば座ることはできるが寝返りは難しく、2時間ごとに気管内吸引と経管栄養を実施していた。外来診療(月1回)、訪問診療(月2回)、訪問看護(週1回)を利用し、身体障害者手帳1級(肢体不自由)は取得していた。市内に住む祖母(63歳)が手伝いに来ている。
3か月後、母親から「新しい生活にAが慣れてきたので、Aが楽しめることを増やしてやりたい」と相談を受けた。
保健師の相談対応で優先度が高いのはどれか。
- 1保健師の訪問回数を増やす。
- 2発達相談支援事業所の通所を提案する。
- 3祖母が児と遊ぶ時間をもてるよう調整する。
- 4母に児との遊びを通したコミュニケーションを指導する。
- 5訪問看護師に児とのコミュニケーションを増やせるか相談する。
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✓ これが正解2発達相談支援事業所の通所を提案する。
解説
子どもの楽しみを広げるため、発達支援の事業所への通所を提案します。
医療的ケアが必要な子どもも、年齢に応じた遊びや人との関わりの中で発達していきます。保健師は、家庭の中だけで生活が完結しないよう、子どもの育ちを支える地域の資源につなぐ役割を担います。
3か月後、母親は新しい生活にAちゃんが慣れてきたので、Aちゃんが楽しめることを増やしてやりたいと相談しました。決め手は、母親の関心が、家庭での世話から子ども自身の経験や楽しみを広げることへと向かっている点です。医療的ケアに対応できる発達支援の事業所に通えば、専門職による遊びや療育を通して、家庭ではできない経験や他の子どもとの関わりが得られます。母親にとっても、子どもを預けている時間に休息をとれるという利点があります。したがって、発達相談支援事業所の通所を提案するのが優先度の高い対応です。保健師の訪問を増やす、祖母や訪問看護師に関わりを頼む、母親に遊び方を指導する、といった対応は、いずれも家庭の中の関わりにとどまり、母親の負担を増やすものもあります。
相談への対応は、相談した人の願いが誰のどんな変化を望んでいるかを読み取り、それに合う資源につなぐと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1保健師の訪問回数を増やす。:保健師の訪問回数を増やしても、Aちゃんが家の外で新しい経験をしたり、他の子どもと関わったりする機会は広がりません。Aちゃんが楽しめることを増やしたいという母親の願いに直接応える対応ではありません。
- 3祖母が児と遊ぶ時間をもてるよう調整する。:祖母がAちゃんと遊ぶ時間を調整しても、関わる相手が家族の中にとどまり、経験の幅は大きく広がりません。手伝いに来ている祖母の負担を増やすことにもなり、優先度の高い対応とはいえません。
- 4母に児との遊びを通したコミュニケーションを指導する。:母親に遊びを通したコミュニケーションを指導すると、2時間ごとのケアを担う母親にさらに役割を求めることになります。母親の負担を増やさずに子どもの経験を広げる方法を先に考える必要があります。
- 5訪問看護師に児とのコミュニケーションを増やせるか相談する。:訪問看護は医療的ケアや健康管理を目的とするサービスで、児とのコミュニケーションを増やすために頼む役割ではありません。家庭外の経験を広げたいという相談には、発達を支える専門の場のほうが合います。
出典:第110回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問52(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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