第112回 午後 問52
公衆衛生看護活動展開論
統合失調症に関する問題
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
Aさん(34歳、男性、無職)はB市内のアパートで1人暮らし。アパートの管理人からB市の保健師に「Aさんは3か月前から家賃を滞納しています。最近は姿を見かけず、保証人である父親に電話をしてもつながりません。精神科に通院していると聞いていますが、Aさんの様子が心配です」と相談があった。
保健師が管理人と一緒に訪問すると、Aさんは自宅におり、話を聞くことができた。母親は5年前、父親は半年前に他界した。C市で暮らす姉とは疎遠になっている。父親からの仕送りが途切れ、生活費が底をつくのが心配で菓子パンを食べて家の中で過ごしていた。現在の所持金は1万円程度である。統合失調症のためB市内の精神科に通院中で、自立支援医療(精神通院医療)を受給している。残薬の量から指示どおり服薬しているようである。
保健師はAさんの同意を得て、主治医に病状や治療について確認した。主治医からは、Aさんの病状は現在落ち着いているため、通院と服薬を継続できるようにしてほしいと説明があった。そこで、保健師はAさんが治療を継続しながら地域で生活を続けるための支援について検討することにした。
保健師が行う内容で優先度が高いのはどれか。
- 1姉に協力の可否を確認する。
- 2関係者会議の出席者の調整を行う。
- 3Aさんのセルフケア能力のアセスメントを行う。
- 4近隣住民にAさんの状態について理解してもらう。
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✓ これが正解3Aさんのセルフケア能力のアセスメントを行う。
解説
支援の土台としてAさんのセルフケア能力を評価します。
精神障害のある人が地域で生活を続けるための支援では、まず本人がどこまで自分で生活を営めるか、何に手助けが必要かを見極めることが、支援計画の出発点になります。セルフケア能力のアセスメントは、食事、金銭管理、服薬、清潔、安全の確保、人との付き合いなどについて、本人の力と困りごとを確かめることです。
Aさんは統合失調症で通院と服薬を続けており、主治医からは病状が落ち着いているので通院と服薬を継続できるようにしてほしいと説明がありました。一方で、父親の死後に仕送りが途切れ、家賃を3か月滞納し、菓子パンを食べて家の中で過ごしており、所持金は1万円程度です。治療は続けられているものの、食事や金銭の管理など日常生活を自分でどこまで営めるのかはまだわかっていません。これを確かめなければ、どのような社会資源を使い、だれと協力して支援するかを決められないため、セルフケア能力のアセスメントが優先されます。
姉への協力依頼や関係者会議の調整は、アセスメントで必要な支援が見えてから進めるものです。近隣住民へAさんの状態を説明することは、本人の同意のない情報の開示につながるおそれがあります。支援の順番は、まず本人を知り、それから人と資源をつなぐ、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1姉に協力の可否を確認する。:姉とは疎遠になっており、協力が得られるかどうかもわかりません。Aさんに必要な支援が明らかになる前に姉に連絡するのは順番が早く、本人の意向の確認も必要です。
- 2関係者会議の出席者の調整を行う。:関係者会議は、Aさんの課題と必要な支援が見えたうえで、だれに何を担ってもらうかを話し合う場です。まだ本人の生活の力を確かめていない段階で出席者を調整するのは早すぎます。
- 4近隣住民にAさんの状態について理解してもらう。:近隣住民にAさんの病状や生活の状態を伝えることは、本人の同意なく個人の情報を明かすことにつながります。地域で暮らし続けるための支援として優先する内容ではありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問52(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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