第36回 問題74
コミュニケーション技術
Cさん(85歳,女性,要介護3)は,介護老人保健施設に入所しており,軽度の難聴がある。数日前から,職員は感染症対策として日常的にマスクを着用して勤務することになった。
ある日,D介護福祉職がCさんの居室を訪問すると,「孫が絵を描いて送ってくれたの」と笑いながら絵を見せてくれた。D介護福祉職はCさんの言動に共感的理解を示すために,意図的に非言語コミュニケーションを用いて対応した。
このときのD介護福祉職のCさんへの対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「よかったですね」と紙に書いて渡した。
- 2目元を意識した笑顔を作り,大きくうなずいた。
- 3「お孫さんの絵が届いて,うれしかったですね」と耳元で話した。
- 4「私もうれしいです」と,ゆっくり話した。
- 5「えがとてもじょうずです」と五十音表を用いて伝えた。
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✓ これが正解2目元を意識した笑顔を作り,大きくうなずいた。
解説
マスクで口元が隠れるので、目元を意識した笑顔と大きなうなずきで伝えます。
決め手は、Cさんに軽度の難聴があること、職員が感染症対策でマスクをつけていること、そしてD介護福祉職が共感的理解を示すために、意図的に非言語コミュニケーションを用いたという設定です。非言語コミュニケーションとは、言葉そのもの以外の、表情、視線、うなずき、身ぶり、姿勢、声の調子などで気持ちを伝えることをいいます。
マスクをしていると口元の表情が相手に見えにくくなるため、見えている目元で笑顔を伝えることが大切です。目元を意識した笑顔を作り、大きくうなずけば、聞こえにくさのあるCさんにも、うれしい気持ちを一緒に喜んでいることが視覚的に伝わります。この対応が、設問の条件に合っています。
ほかの対応は、気持ちを言葉で伝えるものなので、言語コミュニケーションにあたります。紙に書いて渡す方法や五十音表を使う方法は、文字という言葉で伝えています。耳元で話すことや、ゆっくり話すことも、話し言葉で伝える方法です。いずれも難聴への配慮としては意味がありますが、設問が求める非言語の手段ではありません。
覚え方としては、文字や話し言葉で伝えるなら言語、表情やうなずき、身ぶりで伝えるなら非言語、と手段で分け、マスクのときは目元と動きで補う、と押さえておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「よかったですね」と紙に書いて渡した。:筆談は、聞こえにくい人に確実に内容を届けられる方法です。ただ、メッセージを運んでいるのは書かれた文字なので、表情や動作で気持ちを伝える手段には分類されません。
- 3「お孫さんの絵が届いて,うれしかったですね」と耳元で話した。:相手の耳の近くで声をかけるのは、音を届けやすくする工夫です。けれども共感を運んでいるのは発話の中身であり、意図的に表情やしぐさを使う対応とは種類が違います。
- 4「私もうれしいです」と,ゆっくり話した。:話す速さを落とすことは聞き取りやすさへの配慮ですが、気持ちを伝えている手段は言葉です。表情や身ぶりで共感を示す方法とは種類が違います。
- 5「えがとてもじょうずです」と五十音表を用いて伝えた。:五十音表で一文字ずつ示す方法は、文字を使って言葉を組み立てて伝える言語コミュニケーションです。笑顔やうなずきのような非言語の手段ではありません。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題74。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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