第36回 問題123
総合問題
次の事例を読んで,問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事 例〕
Fさん(20歳,男性)は,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり,自宅で母親(50歳),姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。事業所では比較的落ち着いているが,自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。また,自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり,小さい頃から食事や排泄の介護をしている姉は,これまでFさんの行動を止めることができていたが,最近ではからだが大きくなり力も強くなって,母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果,Fさんは障害者支援施設に入所することになった。
次のうち,Fさんが自宅に帰ってきたときの状態に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1学習障害
- 2注意欠陥多動性障害
- 3高次脳機能障害
- 4強度行動障害
- 5気分障害
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✓ これが正解4強度行動障害
解説
激しい自傷や他害が続く状態は、強度行動障害にあたります。
事例の決め手は、Fさんが自宅で母親にかみつきや頭突きをすること、自分で頭をたたくなどの自傷行為がたびたび見られること、そして体が大きくなり、家族が協力しても止められなくなっていることです。Fさんには自閉症スペクトラム障害と重度の知的障害があります。
強度行動障害とは、自分の体をたたくなどの自傷行為や、人にかみつく・頭突きをするなどの他害行為が、通常では考えにくい頻度と形で現れ、家庭などで特別な支援が必要になっている状態を指します。診断名ではなく、本人と周りの環境との関係の中で生じている状態としてとらえるもので、自閉症スペクトラム障害や重度の知的障害のある人に見られやすいとされます。Fさんの自宅での状態は、これにあたります。
ほかの選択肢は、それぞれ別の障害や病気の名で、Fさんの自傷や他害が強く現れている状態を表すものではありません。
見分け方として、自傷や他害が繰り返し強く現れ、周りが対応に困っている事例では、強度行動障害を考えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1学習障害:学習障害は、知的な発達に大きな遅れはないのに、読む・書く・計算するなどの特定の能力の習得に著しい困難がある状態です。重度の知的障害があるFさんの、かみつきや自傷が強く現れている状態には当てはまりません。
- 2注意欠陥多動性障害:注意欠陥多動性障害は、不注意や、じっとしていられない多動性、思いついたらすぐ行動してしまう衝動性を特徴とする発達障害です。Fさんの事例で問題になっている激しい自傷や他害の状態を表す名ではありません。
- 3高次脳機能障害:高次脳機能障害は、病気やけがで脳が損傷を受けた後に、記憶や注意、言語などの働きに障害が生じる状態です。Fさんには脳の損傷を受けたという記述はなく、当てはまりません。
- 5気分障害:気分障害は、気分の落ち込みや高ぶりが長く続く病気をまとめた呼び名です。Fさんの事例には気分の変動についての記述はなく、自傷や他害が強く現れている状態を表すものではありません。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題123。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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