第114回 午後 問27
人体の構造と機能
細胞外液に関する問題
A君(15歳、男子)は、蒸し暑い夏の午後に行われたサッカーの試合に出ていた。A君は試合中に大量の汗をかいて、気分が悪くなったので多量の水道水を飲み、日陰で休んでいたが、突然、意識消失して倒れた。このときのA君の細胞外液のナトリウムイオン濃度と水分量の正常時に対する割合を図に示す。このときのA君の体液の状態で正しいのはどれか。
細胞外液のNa⁺濃度と水分量の棒グラフ(原典は図。縦軸は正常時に対する割合(0 %〜100 %)。棒の高さを目盛りから読んだ概数を書き写した):
- 正常時:Na⁺ 100 %、水 100 %
- 意識消失時:Na⁺ 約70 %、水 約85 %(どちらも100 %を下回り、Na⁺の方が水より低い)
- 1細胞内液は減少している。
- 2血漿浸透圧は上昇している。
- 3循環血液量は減少している。
- 4ヘマトクリットは低下している。
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✓ これが正解3循環血液量は減少している。
解説
低張性脱水で細胞外液が減り、循環血液量は減少しています。
体液は細胞内液と細胞外液に分かれ、水は浸透圧の低い側から高い側へ移動します。細胞外液の量と浸透圧の変化を考えるときは、ナトリウムイオン〈Na⁺〉と水のどちらがより多く失われたかが手がかりになります。
A君は大量の汗で水とNa⁺の両方を失い、そのあとNa⁺をほとんど含まない水道水を多量に飲んでいます。図では意識消失時のNa⁺濃度が正常の約70%、水分量が約85%で、どちらも減り、しかもNa⁺の低下のほうが大きくなっています。これは、Na⁺の喪失が水の喪失を上回る低張性脱水の状態です。細胞外液の水分量が減っているため、血管の中の血漿も減り、循環血液量は減少しています。一方で細胞外液が薄まるため血漿浸透圧は低下し、水は細胞の外から内へ移って細胞内液はむしろ増えます。血液は濃縮されるので、ヘマトクリットは上昇します。
したがって循環血液量は減少しているが正解です。Na⁺を多く失う低張性脱水では、細胞外液が減り細胞内液が増える、という水の動きの向きを押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1細胞内液は減少している。:細胞の外の液が薄くなると、浸透圧の差に引かれて水が細胞の中へ入り込みます。細胞の中の水分は減るのではなく増え、細胞がむくむ方向へ変化します。
- 2血漿浸透圧は上昇している。:汗で失ったNa⁺を補わずに真水だけを大量に飲んだので、血液中のNa⁺は薄まっています。浸透圧を決める主な物質はNa⁺なので、上がるのではなく下がります。
- 4ヘマトクリットは低下している。:血漿の水分が減って血液が濃くなるうえ、赤血球も水を取り込んで膨らむため、血液に占める赤血球の容積の割合は上がります。ヘマトクリットが下がることはありません。
出典:第114回 看護師国家試験 午後(厚生労働省)問27(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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