第115回 午後 問119
看護の統合と実践
避難所に関する問題
次の文を読み118~120の問いに答えよ。
大型の台風が直撃するという予報を受けて、午前9時、病院では災害対策本部が立ち上がった。また、病院の所在する市から避難所への看護師派遣の要請を受け、対応することになった。
午後1時、落雷によって病院の電源供給が一時停止したが、直後に自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している。ICUには患者4名が入院し、全員が輸液ポンプを使用している。Aさん(65歳、女性)は鎮静薬が投与され、人工呼吸器が装着されている。Bさん(78歳、男性)は大声で家族を呼び続けている。その他の患者は心配そうな表情でICU内を見回している。
この台風による大雨の影響で、大規模な土砂災害が発生した。病院から派遣されて避難所内を巡回していた看護師は、元気がないCさん(66歳、女性)のことが気になり、毎日声をかけていた。発災3日目、Cさんは避難所内を巡回していた看護師を呼び止めて話をした。Cさんは、土砂災害があったときに娘と自宅にいたが、Cさんが先に屋外に避難したことを悔やんでいた。「娘の行方がまだ分からない。静かになると、あのときのことを思い出して涙が止まらなくなる」と悲しんでいる。
このときの看護師のCさんへの対応で適切なのはどれか。
- 1睡眠と食事の状況を聞く。
- 2娘のことを早く忘れるよう促す。
- 3待っていれば娘は見つかると励ます。
- 4気分転換をするために近所の友人と新しいことを始めるよう提案する。
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✓ これが正解1睡眠と食事の状況を聞く。
解説
まず睡眠と食事の状況を聞いて、心身の状態を確かめます。
大きな災害の後には、多くの人が強い悲しみや不安、眠れない、食べられないといった心身の反応を示します。避難所の看護師は、被災者の話に耳を傾け、まず生活の基本である睡眠や食事がとれているかを確かめ、心身の状態を把握することが大切です。必要があれば専門の支援につなげます。
Cさんは、土砂災害のときに娘と一緒にいたのに自分が先に避難したことを悔やみ、娘の行方がまだ分からない中で、静かになると当時のことを思い出して涙が止まらないと話しています。発災から3日目で、深い悲しみと自責の念を抱えています。このときは、Cさんの気持ちを受け止めながら、睡眠と食事の状況を聞き、心身の健康状態を確かめるのが適切です。眠れていない、食べられていない場合は、早めの支援が必要なサインになります。
ほかの対応は、Cさんの気持ちを傷つけます。娘のことを早く忘れるよう促すのは、Cさんの悲しみを否定することになります。待っていれば見つかると励ますのは、根拠のない約束で、後でCさんをさらに傷つけるおそれがあります。気分転換に新しいことを始めるよう提案するのは、娘の行方が分からない今のCさんの心の状態に合っていません。
見分け方は、被災直後の悲しみには、気持ちを否定せず、根拠のない励ましもせず、まず心身の状態を確かめる関わりを選ぶことです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2娘のことを早く忘れるよう促す。:娘の行方が分からないまま悲しんでいるCさんに、忘れるよう求めるのは気持ちを否定することです。Cさんは悲しむことを許されないと感じ、ますます孤立してしまいます。
- 3待っていれば娘は見つかると励ます。:娘が見つかるかどうかは誰にも分かりません。根拠のない励ましは、その場では慰めに聞こえても、結果によってはCさんをさらに深く傷つけることになります。
- 4気分転換をするために近所の友人と新しいことを始めるよう提案する。:発災から3日目で、娘の行方もまだ分からない今のCさんに、新しい活動を始める気持ちの余裕はありません。気持ちを受け止めずに先へ進むよう促すことになります。
出典:第115回 看護師国家試験 午後(厚生労働省)問119(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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