第58回 午前 問17
理学療法治療学
インスリン療法に関する問題
75歳の男性。2型糖尿病でインスリン療法中。腎症、高血圧症および増殖前網膜症を合併しており、週3回血液透析と理学療法のため外来通院している。運動療法で正しいのはどれか。
- 1透析日の運動は禁忌である。
- 2HbA1cの値で運動強度を決定する。
- 3運動前に口渇が改善するまで飲水を促す。
- 4倦怠感を訴えるときは低血糖症状の可能性がある。
- 5運動療法の主目的はインスリン分泌能の改善である。
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✓ これが正解4倦怠感を訴えるときは低血糖症状の可能性がある。
解説
インスリン治療中の倦怠感は低血糖の症状の可能性があります。
インスリン療法中の糖尿病患者では、運動によって筋が糖を取り込むため、運動中や運動後に血糖が下がりすぎる低血糖が起こり得ます。低血糖の症状には、冷や汗やふるえ、動悸のほか、だるさや集中力の低下などもあります。この患者は75歳と高齢で、腎症もあるため薬の効き方が変わりやすく、症状がはっきりしないこともあります。倦怠感を訴えたときに低血糖の可能性を考えるのは正しい考え方です。
ほかの記述をみると、透析日でも条件を整えて運動を行うことはでき、運動強度は心拍数や自覚的運動強度などで決め、HbA1cでは決めません。透析患者は飲水量の管理が必要で、口渇が改善するまで飲ませるのは不適切です。2型糖尿病の運動療法の主な狙いは、インスリンの効き具合(インスリン感受性)を高めることです。
インスリンや血糖を下げる薬を使う患者の運動では、まず低血糖に備える、と押さえておくと、症例問題で何を優先して観察するかが分かりやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1透析日の運動は禁忌である。:血液透析を受けている患者でも、透析日に運動療法を行うことはできます。透析中に自転車エルゴメータをこぐ運動なども行われており、透析日というだけで禁忌にはなりません。
- 2HbA1cの値で運動強度を決定する。:HbA1cは過去しばらくの期間の血糖の平均的な状態を表す指標で、その日の運動の強さを決める材料にはなりません。運動強度は心拍数や自覚的運動強度などで設定します。
- 3運動前に口渇が改善するまで飲水を促す。:週3回の血液透析を受けている患者は、体内に水分がたまりやすく、飲水量を制限して管理しています。口渇が改善するまで飲ませると、体液が過剰になるおそれがあります。
- 5運動療法の主目的はインスリン分泌能の改善である。:2型糖尿病の運動療法でまず期待されるのは、筋での糖の取り込みが増え、インスリンが効きやすくなることです。膵臓からのインスリン分泌を増やすことが主な目的ではありません。
出典:第58回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問17(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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