第59回 午後 問31
臨床医学
自己効力感に関する問題
運動療法を受ける患者の自己効力感が低下する可能性が高いのはどれか。
- 1運動療法時に医療者が励ます。
- 2運動後の疲労は問題ないことを説明する。
- 3既に退院した患者の成功した治療例を伝える。
- 4類似した事柄に対して過去に成功体験がある。
- 5達成が困難な高い目標の運動課題を初めに設定する。
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✓ これが正解5達成が困難な高い目標の運動課題を初めに設定する。
解説
達成困難な高い目標を初めに置くと、失敗が重なり自己効力感が下がります。
自己効力感は、ある行動を自分はうまく行えるという見込みや自信のことで、Banduraが提唱しました。自己効力感を高める情報源として、自分で成し遂げた経験(達成体験)、他者の成功を見聞きすること(代理体験)、周囲からの励ましや説得(言語的説得)、体調や気分の受け止め方(生理的・情動的状態)の4つが挙げられます。達成が困難な高い目標を初めに設定すると、失敗の体験が重なりやすく、達成体験とは逆に自信を失わせるため、自己効力感が低下する可能性が高くなります。
ほかの肢は、いずれもこの4つの情報源のどれかにかかわり、自己効力感を高める方向に働く関わりです。
運動療法では、少し頑張れば達成できる目標から始め、成功を積み重ねて自信を育てる、と覚えておくと、目標設定や声かけの問いで迷いません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1運動療法時に医療者が励ます。:医療者がそばで励ますことは、周囲からの説得や声かけによって、やればできるという見込みを支える働きをします。自己効力感を高める情報源の一つであり、低下させる関わりではありません。
- 2運動後の疲労は問題ないことを説明する。:運動後の疲労を心配いらないものとして説明すると、体の反応を失敗や悪化の兆しと受け取らずに済みます。不安を和らげて自信を保つことにつながり、自己効力感を下げる働きはしません。
- 3既に退院した患者の成功した治療例を伝える。:自分と似た立場の患者がうまくいった話を聞くことは、他者の成功を通して自分にもできそうだと感じる体験になります。自己効力感を高める情報源に当たり、低下の原因にはなりません。
- 4類似した事柄に対して過去に成功体験がある。:似た事柄で過去にうまくいった経験があると、今回もできるだろうという見込みをもちやすくなります。自分で成し遂げた経験は自己効力感を最も強く高めるとされ、低下させる要因ではありません。
出典:第59回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問31(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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