第60回 午前 問2
理学療法治療学
理学療法治療学に関する問題
次の文により、2、3の問いに答えよ。80歳の男性。間質性肺疾患の急性増悪で入院中。酸素化が不良で気管切開による人工呼吸管理を受けている。肺炎は認めないが血圧変動が大きい。理学療法で最も適切なのはどれか。
- 1咳嗽練習
- 2歩行練習
- 3移乗動作練習
- 4関節可動域運動
- 5等尺性筋力増強運動
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✓ これが正解4関節可動域運動
解説
循環が不安定な人工呼吸管理中は、関節可動域運動が最も適切です。
急性期の理学療法を選ぶときは、病態の重さと全身状態の安定性、特に循環動態から、どこまで負荷をかけてよいかを判断します。この患者は間質性肺疾患の急性増悪で酸素化が不良、気管切開による人工呼吸管理中で、しかも血圧変動が大きいという状況です。循環動態が不安定なときは、心拍数や血圧を大きく動かす積極的な離床や筋力増強は控え、低負荷で拘縮や廃用を防ぐ介入にとどめるのが基本です。
歩行練習や移乗動作練習は起き上がって体を動かすため、酸素消費と循環への負担が大きく、この時期には合いません。等尺性筋力増強運動は息こらえを伴いやすく、血圧を上げる方向に働きます。咳嗽練習は気道分泌物を出すための手段ですが、設問は肺炎を認めないとしており、排痰を急ぐ理由が示されていないため優先度は低いと考えられます。
したがって、ベッド上で負荷を小さく保ちながら関節の動きを維持できる関節可動域運動が最も適切です。状況設定問題では、血圧変動や酸素化不良のような不安定さの手がかりがあれば、まず低負荷の介入を選ぶと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1咳嗽練習:咳嗽練習は痰を出すための方法です。この患者は肺炎を認めず、排痰を急ぐ必要性が示されていません。強い咳は胸腔内圧を上げて循環にも影響しうるため、最優先にはなりません。
- 2歩行練習:歩行練習は立位で全身を使う負荷の高い練習です。酸素化が不良で人工呼吸管理を受け、血圧も安定しない時期に行うと、状態を悪化させるおそれがあります。
- 3移乗動作練習:移乗動作練習はベッドから車椅子などへ乗り移る練習で、起き上がりや立ち上がりを伴います。血圧変動が大きい現段階では、体位の変化による循環への負担が問題になります。
- 5等尺性筋力増強運動:等尺性筋力増強運動は関節を動かさずに強く力を入れる運動で、息こらえから血圧の上昇を招きやすい特徴があります。血圧変動の大きい患者には向きません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問2(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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