第60回 午前 問5
理学療法評価学
関節可動域測定法に関する問題
65歳の男性。脳出血による弛緩性右片麻痺で肩関節に2横指の亜脱臼がある。関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準1995年)に従って右肩関節外転の関節可動域検査を行う際に正しいのはどれか。
- 1基本軸は体幹である。
- 2肘関節屈曲位で計測する。
- 3肩甲骨は動かないように固定する。
- 490度以上の外転では前腕を回外させる。
- 5上肢の長軸方向に牽引を加えて測定する。
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✓ これが正解490度以上の外転では前腕を回外させる。
解説
外転が90度を超えたら、前腕を回外させて測るのが決まりです。
関節可動域の検査は、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定めた関節可動域測定法に従い、運動ごとに決められた基本軸・移動軸・測定肢位と注意点を守って行います。設問は1995年の基準を指定しています。肩関節外転では、基本軸は肩峰を通る床への垂直線、移動軸は上腕骨で、注意点として、体幹の側屈が起こらないように、90°以上になったら前腕を回外することを原則とすると定められています。
基本軸を体幹とする記述は、決められた基本軸と異なります。肘関節屈曲位という指定は外転の測定肢位にはありません。肩関節の外転は肩甲帯の動きを含めて測る運動として扱われ、注意点が求めているのは体幹の側屈を防ぐことで、肩甲骨の固定ではありません。上肢の長軸方向に牽引を加える手順も測定法にはなく、亜脱臼のある弛緩性麻痺の肩では、牽引はかえって肩関節を傷めるおそれがあります。
したがって、90度以上の外転では前腕を回外させるのが正しい手順です。前腕を回外させると上腕が外旋し、上腕骨の大結節が肩峰に当たりにくくなって外転を続けやすくなる、と説明されます。理由とあわせて覚えると忘れにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1基本軸は体幹である。:肩関節外転の基本軸は、肩峰を通る床への垂直線(立位または座位)と定められています。体幹そのものを基本軸とする記述は、この決まりと合いません。
- 2肘関節屈曲位で計測する。:外転の測定肢位と注意点には、肘関節を屈曲位にするという指定はありません。肘を前方に90°曲げるのは、肩の外旋・内旋を測るときに指定される肢位です。
- 3肩甲骨は動かないように固定する。:測定法では肩の運動は肩甲帯の動きを含めて測り、外転の注意点が求めるのは体幹の側屈を起こさないことです。肩甲骨を固定する手順は定められていません。
- 5上肢の長軸方向に牽引を加えて測定する。:上肢の長軸方向に牽引を加える手順は測定法にありません。亜脱臼のある麻痺側の肩に牽引を加えると、関節周囲の組織を傷めるおそれもあり、検査として不適切です。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問5(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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