第60回 午後 問8
理学療法評価学
大腿義足に関する問題
32歳の男性。交通事故で4週前に右大腿骨を図のように遠位部で切断した。今後、大腿義足を作製する。切断側の身体計測で正しいのはどれか。2つ選べ。
切断の図:
- 背臥位で下肢を伸ばしている。右大腿は遠位部(膝より上)で切断されている。
- 1測定肢位は背臥位とする。
- 2断端最小前後径は大転子レベルで計測する。
- 3大腿長は坐骨結節から断端末までの距離である。
- 4大腿長は断端末の軟部組織を押し上げて計測する。
- 5切断肢側の力源となる実質的な長さを確認するために機能的断端長を測定する。
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✓ これが正解3大腿長は坐骨結節から断端末までの距離である。
✓ これが正解5切断肢側の力源となる実質的な長さを確認するために機能的断端長を測定する。
解説
大腿長は坐骨結節から断端末まで測り、機能的断端長も確かめます。
大腿義足を作るときの断端の計測は、ソケットの形と大きさを決めるための採寸で、ソケットが体重を受ける坐骨結節を基準にとるのが基本です。
大腿長(大腿断端長)は坐骨結節から断端末までの距離として測ります。坐骨結節はソケットの後壁で体重を支える部位なので、ここを起点にすると義足の長さやソケットの深さが決めやすくなります。また、機能的断端長は、断端のうち実際に義足を振り出したり支えたりする力源として働く長さを確かめるための計測です。骨の長さだけでなく、軟部組織や筋の付き方を含めて義足を動かせる長さを見る目的があります。
一方、採寸は荷重時の状態に近い立位で行うのが基本とされ、背臥位を決まりとするものではありません。断端の前後径は坐骨結節の高さで測り、大転子の高さではありません。断端末の軟部組織を押し上げて測ると、実際より短い値になってしまいます。
したがって、坐骨結節から断端末までの大腿長の肢と、機能的断端長を測定する肢が正しい組です。大腿切断の計測は坐骨結節が起点、と覚えておくと他の項目も整理できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1測定肢位は背臥位とする。:大腿切断の採寸は、ソケットに荷重する状態に近い立位で行うのが基本とされます。背臥位では断端の軟部組織の形や骨盤の位置が荷重時と変わるため、計測の決まりとして背臥位をとるわけではありません。
- 2断端最小前後径は大転子レベルで計測する。:断端の最小前後径は、ソケットの前後の幅を決めるために坐骨結節の高さで測ります。大転子の高さで測ってもソケット上縁の前後径とは一致しないため、計測位置が違います。
- 4大腿長は断端末の軟部組織を押し上げて計測する。:断端末の軟部組織を押し上げて測ると、骨の端までの距離に近い短い値になります。ソケットの深さは軟部組織を含めた断端に合わせる必要があるので、押し上げずに断端末まで測ります。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問8(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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