第60回 午後 問9
理学療法評価学
20歳の男性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが右膝関節の不安定感があり来院した。実施した検査を図に示す。この検査の対象はどれか。ただし、矢印は検査者が力を加えた方向を示す。
検査の図:
- 背臥位で右膝関節を約90度屈曲し、足底を台につけている。
- 検査者は両手で下腿近位部を把持している。
- 矢印は下腿近位部を後方(大腿の方向)へ押す向き。
- 1前十字靱帯
- 2後十字靱帯
- 3内側側副靱帯
- 4外側側副靱帯
- 5内側半月板
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✓ これが正解2後十字靱帯
解説
膝屈曲位で下腿を後方へ押す検査は、後十字靱帯を調べます。
膝関節の靱帯の検査は、どの方向へ骨をずらす力を加えたかで、どの靱帯を調べているかが決まります。前十字靱帯は脛骨が前へずれるのを、後十字靱帯は脛骨が後ろへずれるのを止めています。内側・外側の側副靱帯は、膝を横から見て内側や外側に開く力を止める靱帯です。
図では、背臥位で膝関節を約90度曲げて足底を台につけ、検査者が下腿の近位部を後方(大腿の方向)へ押しています。脛骨を後方へ押し込む力なので、これは後方引き出しテストで、後十字靱帯の損傷があると脛骨が後方へ大きくずれます。転倒で膝の前から強い力を受けたり、脛骨の前面を打ったりする受傷機転とも結びつきます。
前十字靱帯を調べるときは同じ肢位で下腿を前方へ引き出します。側副靱帯を調べるときは膝の内側・外側に開く力を加え、半月板を調べるときは回旋を加える検査を用います。
したがって、検査の対象は後十字靱帯です。前に引けば前十字、後ろに押せば後十字、と力の向きと靱帯の名前を対応させて覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1前十字靱帯:前十字靱帯は脛骨の前方へのずれを止める靱帯で、同じ膝屈曲位でも下腿を前方へ引き出す前方引き出しテストで調べます。図のように後方へ押す力では評価できません。
- 3内側側副靱帯:内側側副靱帯は、膝の外側から力を加えて内側が開く外反の動きを止める靱帯です。外反ストレスを加える検査で調べるもので、前後方向に押す図の検査の対象ではありません。
- 4外側側副靱帯:外側側副靱帯は、膝の内側から力を加えて外側が開く内反の動きを止める靱帯です。調べるには内反ストレスを加える必要があり、後方へ押す力では判断できません。
- 5内側半月板:内側半月板の損傷は、膝を曲げ伸ばししながら下腿に回旋を加える検査などで、痛みやクリック音を確かめて調べます。前後方向の動揺性をみる図の検査は靱帯を対象としています。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問9(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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