第60回 午後 問32
臨床医学
アミロイドの沈着がみられるのはどれか。
- 1Alzheimer病
- 2Huntington病
- 3Pick病
- 4Wernicke脳症
- 5多発性硬化症
答えと解説を見る
✓ これが正解1Alzheimer病
解説
Alzheimer病では、脳にアミロイドβが沈着します。
アミロイドは、たんぱく質が異常に折りたたまれて線維状になり、組織にたまったものです。神経の病気では、どんなたんぱく質がどこにたまるかが、それぞれの病気を見分ける手がかりになります。
Alzheimer病では、アミロイドβというたんぱく質が脳に沈着して老人斑を作り、さらにタウたんぱく質がたまった神経原線維変化が加わって、神経細胞が失われていきます。アミロイドβの沈着は、記憶障害などの症状が出る前から始まると考えられています。
他の病気では、主な変化が違います。Huntington病はハンチンチンという遺伝子の異常で線条体の神経細胞が失われる病気、Pick病は前頭葉や側頭葉にPick球と呼ばれる構造が現れる病気です。Wernicke脳症はビタミンB1(チアミン)の不足で起こり、多発性硬化症は中枢神経の髄鞘が壊れる脱髄の病気で、どちらもアミロイドの沈着は特徴ではありません。
したがって、アミロイドの沈着がみられるのはAlzheimer病です。Alzheimer病は老人斑(アミロイドβ)と神経原線維変化(タウ)の2つ、と組で覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2Huntington病:Huntington病は常染色体優性の遺伝病で、尾状核を中心に神経細胞が脱落し、不随意に踊るような動きや認知機能の低下が進みます。老人斑のようなアミロイドβの沈着を特徴とする病気ではありません。
- 3Pick病:Pick病は前頭側頭型認知症の一つで、前頭葉と側頭葉が強く萎縮し、神経細胞にPick球と呼ばれるタウたんぱく質の塊が現れます。アミロイドの沈着がみられる病気ではありません。
- 4Wernicke脳症:Wernicke脳症は、アルコール多飲や栄養不良でビタミンB1が不足して起こり、意識障害・眼球運動障害・失調が特徴です。たんぱく質の沈着ではなく、栄養素の不足による病気です。
- 5多発性硬化症:多発性硬化症は、免疫の異常で中枢神経の髄鞘が壊れる脱髄が、時と場所を変えて繰り返し起こる病気です。神経にアミロイドがたまる病気ではありません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問32(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)