第61回 午前 問10
臨床医学
ALPに関する問題
12歳の男児。約2か月来の膝関節痛を主訴に近医を受診した。陸上部に所属しているが、特に外傷の既往はない。下腿近位部の腫脹、圧痛、安静時痛を認めた。膝関節の可動域は疼痛のため、著明に制限されていた。単純X線画像およびMRI画像(別冊No. 2)を別に示す。画像所見で異常を指摘され、紹介受診となった。発熱はなく全身状態は良好。血液検査では炎症反応は正常で、ALPの上昇を認めた。最も考えられる疾患はどれか。
〔別冊No. 2〕単純X線画像およびMRI画像(本文だけで成立する。臨床所見で決まる)
- 1骨挫傷
- 2骨髄炎
- 3骨肉腫
- 4軟骨肉腫
- 5疲労骨折
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✓ これが正解3骨肉腫
解説
膝周囲の痛みとALP上昇から骨肉腫を考えます。
判断の手がかりは、年齢、部位、痛みの性質、検査値の組み合わせです。12歳という成長期の子どもに、外傷がないのに膝の近くの骨(下腿近位部)が腫れ、安静にしていても痛みがあります。発熱や炎症反応の上昇はなく、ALP(アルカリホスファターゼ)が上昇しています。ALPは骨をつくる細胞の働きが盛んなときに上がる酵素です。
骨肉腫は10代に多い悪性の骨腫瘍で、大腿骨の遠位部や脛骨の近位部など、膝の周りに好発します。腫瘍が骨をつくる性質をもつため、ALPが高くなることがあります。安静時にも続く痛みは、運動に関係する痛みとは異なり、腫瘍を疑う大事な所見です。ほかの肢は、外傷の既往、炎症所見、年齢、痛みの出方のどれかが症例と合いません。
したがって、最も考えられる疾患は骨肉腫です。成長期の膝の周りの安静時痛とALPの上昇がそろったら、まず骨肉腫を思い浮かべましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1骨挫傷:骨挫傷は、ぶつけるなどの外力で骨の内部に生じる損傷です。この症例には外傷の既往がなく、ALPの上昇とも結び付かないため、考えにくい疾患です。
- 2骨髄炎:骨髄炎は細菌などの感染による骨の炎症で、発熱や炎症反応の上昇を伴うことが多い疾患です。この症例は発熱がなく、炎症反応も正常なので合いません。
- 4軟骨肉腫:軟骨肉腫は軟骨をつくる悪性腫瘍で、中高年に多くみられます。12歳の子どもで、骨をつくる働きを示すALPの上昇を伴うこの症例には当てはまりにくい疾患です。
- 5疲労骨折:疲労骨折は運動の繰り返しで起こり、運動時の痛みが中心で休むと軽くなるのが典型です。安静時痛やALPの上昇、著明な可動域制限を伴うこの症例とは合いません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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