第61回 午前 問13
臨床医学
頸髄損傷に関する問題
64歳の男性。第6頸髄損傷(AIS A)の診断で回復期リハビリテーション病棟に入院して治療が行われている。リハビリテーション治療前の問診で頭痛の訴えがあり、顔面紅潮、発汗を認めた。血圧を測定したところ、220/100 mmHgであった。この状態で適切なのはどれか。
- 1頻脈を認める。
- 2体位を臥位にする。
- 3重篤な合併症は生じない。
- 4排尿・排便状況を確認する。
- 5腰髄損傷の患者にも生じやすい。
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✓ これが正解4排尿・排便状況を確認する。
解説
自律神経過反射なので排尿・排便状況を確認します。
第6頸髄損傷の患者に、頭痛、顔面紅潮、発汗とともに、220/100 mmHgという急な高血圧が起きています。これは自律神経過反射の典型的な姿です。脊髄損傷の高さがおよそ第6胸髄より上の患者で、損傷部より下の刺激をきっかけに交感神経が過剰に働き、血圧が急に上がる状態です。
きっかけとして最も多いのは、膀胱に尿がたまりすぎることや便秘などの、排尿・排便に関する刺激です。そのため対応では、まず座位にして頭を高くし、カテーテルの詰まりや膀胱の張り、便のたまり具合を確かめ、原因を取り除くことが重要になります。ほかの肢は、心拍の変化、とるべき体位、合併症の重さ、起こりやすい損傷の高さのどれかを取り違えています。
したがって、排尿・排便状況を確認するという対応が適切です。高位の脊髄損傷で頭痛と急な高血圧を見たら、膀胱と腸をまず確かめる、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1頻脈を認める。:自律神経過反射では急に血圧が上がるため、それを下げようとする反射で心拍はむしろ遅くなる、つまり徐脈になることが多いです。頻脈を認めるという記述は合いません。
- 2体位を臥位にする。:臥位にすると頭の位置が低くなり、上がった血圧が頭部にさらに影響しやすくなります。対応としては、座位にして頭を高くし、血圧を下げる方向に体位を整えるのが基本です。
- 3重篤な合併症は生じない。:急な高血圧が続くと、脳出血やけいれんなど命に関わる合併症を起こすおそれがあります。重篤な合併症は生じないとする記述は誤りで、すぐに対応が必要な状態です。
- 5腰髄損傷の患者にも生じやすい。:自律神経過反射は、損傷の高さがおよそ第6胸髄より上の脊髄損傷で起こります。損傷の高さがずっと低い腰髄損傷では起こりにくいので、この記述は誤りです。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問13(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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