第26回 問題69
精神保健福祉制度論
精神科病院に勤務するJ精神保健福祉士は,栄養士と共同の発案で,糖尿病を合併している統合失調症の患者に対する6か月間の運動・栄養指導の評価プログラムを,説明と同意の上で実施することとした。プログラムの開始前と終了時(6か月後)の2時点において,IDを付したプログラムへの参加者50名の空腹時の血糖値を測定した。参加者における2時点の血糖値の平均値に,統計的有意差があるかを検証するために,統計的手法を用いた。
次のうち,用いた統計的手法として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1相関係数の算出
- 2因子分析
- 3リッカート法
- 4対応のあるt検定
- 5カイ二乗検定
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✓ これが正解4対応のあるt検定
解説
同じ人の前後2時点の平均値の差を調べるのは、対応のあるt検定です。
この問は、評価プログラムの効果を調べるのにどの統計的手法が合うかを問うています。判断の軸は、データの種類(数値か、分類か)、比べる組の関係(同じ人か、別の人か)、知りたいこと(差か、関連か)の3つです。
事例では、同じ参加者50名について、プログラムの開始前と終了時の2時点で空腹時の血糖値を測っています。IDを付けているので、一人ひとりの前と後のデータを組にできます。血糖値は連続した数値のデータで、知りたいのは2時点の平均値に統計的に意味のある差があるかどうかです。
このように、同じ対象から得た2組の数値データの平均値の差を検定する方法が、対応のあるt検定です。同じ人の前後を比べるので、一人ひとりの変化の量に注目して検定でき、もともとの個人差の影響を除いて効果を確かめやすくなります。別々の集団の平均を比べる場合は、対応のないt検定を使います。
他の手法は、知りたいことやデータの種類が合いません。2つの変数がどの程度一緒に動くかを見る方法、多くの変数の背後にある共通の要因を探る方法、回答の選択肢を段階で作る尺度の作り方、分類のデータの度数の偏りを調べる方法は、2時点の平均値の差の検定には使いません。
覚え方として、同じ人の前と後の平均の差なら対応のあるt検定、と場面で結びつけておくとよいでしょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1相関係数の算出:相関係数は、2つの変数がどの程度一緒に増減するかという関連の強さを表す数値です。同じ人の2時点の平均値に差があるかを検定する方法ではありません。
- 2因子分析:因子分析は、多数の質問項目などの背後にある共通の要因を探り出す多変量解析の方法です。2時点の血糖値の平均を比べる目的には使いません。
- 3リッカート法:リッカート法は、とてもそう思うからまったくそう思わないまでのように、段階をつけた選択肢で態度を測る尺度の作り方です。検定の手法ではありません。
- 5カイ二乗検定:カイ二乗検定は、性別や回答の区分などの分類データについて、度数の偏りや2つの区分の関連を調べる方法です。血糖値のような数値の平均の差を比べる手法ではありません。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題69。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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