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第26回 問題70

精神保健福祉制度論

次の事例を読んで,問題70から問題72までについて答えなさい。

〔事 例〕

Kさん(50歳,女性)は80代の両親と同居していたが,母親の死をきっかけに統合失調症が悪化し,幻聴や妄想の出現により父親に対する暴言が顕著となった。Kさんの様子を心配した父親は,Kさんが通院している精神科病院に受診させた。Kさんは入院を拒んだが,父親が同意しKさんは入院した。担当のL精神保健福祉士は,Kさんの気持ちを受け止めながら,自らの役割などをKさんに丁寧に説明した。

Kさんの入院後,父親が介護保険の利用を開始するなど,生活環境は大きく変化し,またKさんの症状が残っていることから入院期間は1年となってしまった。主治医はKさんの入院継続の必要性を認め,Kさんも入院の継続に同意した。(問題70)

入院から1年半後,主治医から退院に向けた今後の治療方針の説明がなされた。L精神保健福祉士は,Kさんと父親双方の今後の生活について丁寧に話を聞いた。父親はKさんの面倒を見ることに限界を感じていた。またKさん自身は,一人暮らしを希望していた。そこでL精神保健福祉士は,退院に向けて「障害者総合支援法」に規定される地域相談支援サービスの活用を提案した。Kさん,父親も同意したことから,L精神保健福祉士はそのサービスを提供するX事業所のM精神保健福祉士と連携し,アパートの体験利用を実施した。(問題71)

退院後のアパートでの生活を継続するための話し合いをKさん,父親,L精神保健福祉士及びM精神保健福祉士とで行った。Kさんからは,定期的な巡回訪問や随時の相談を受けて欲しいとの希望が出された。そこで「障害者総合支援法」に基づく別のサービスの利用の検討を行った。(問題72)

(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

次の記述のうち,この時点でのKさんの入院形態の説明として,正しいものを1つ選びなさい。

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✓ これが正解3精神保健指定医による退院制限は72時間を限度とする。

解説

本人が入院継続に同意した任意入院では、指定医の退院制限は72時間までです。

この問は同じ事例の1問目で、(問題70)の段落が中心です。Kさんは当初、入院を拒みましたが、父親が同意して入院しました。本人の同意がなく家族等の同意で入院したので、この時点の入院形態は医療保護入院と考えられます。ところが問われているのは、入院から1年が過ぎ、主治医が入院継続の必要を認め、Kさんも入院の継続に同意した時点です。本人が同意して入院を続けるので、この時点の入院形態は任意入院にあたります。

任意入院は、本人の同意にもとづく入院で、本人から退院の申し出があれば退院させるのが原則です。ただし精神保健福祉法は、精神保健指定医の診察の結果、医療と保護のために入院を続ける必要があると認めたときは、管理者は72時間を限り退院させないことができる、と定めています。指定医による退院制限が72時間を限度とするという記述は正しい内容です。

他の記述は別の入院形態や制度の説明です。審判で入院を決めるのは医療観察法の入院、家族等の同意が必要なのは医療保護入院、知事の権限で入院させるのは措置入院です。指定医1名の診察が要件になるのも医療保護入院で、任意入院は本人の同意が基本です。

見分け方として、事例の入院形態は入院時ではなく問われた時点の本人の同意の有無で判断する、と押さえておくとよいでしょう。

出題当時の精神保健福祉法では、医療保護入院に入院期間の定めはありませんでした。現在は2024年4月1日施行の改正(令和4年法律第104号)により、医療保護入院は6か月以内の期間を定めて行い、継続には更新の手続きが必要です。

ほかの選択肢はなぜ違うのか

出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題70。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。

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