第27回 問題8
精神医学と精神医療
Aさん(30歳,女性)は,母親への殺人未遂の疑いで逮捕された。しかし,起訴前鑑定で,統合失調症に罹患しており「母親を殺せ」という幻聴の強い影響下で犯行に及んだと示された。このため,犯行当時にAさんは心神喪失状態だったと認められて不起訴処分とされ,検察官から「医療観察法」の審判が申し立てられた。
次の記述のうち,申立て後,最初に行われることとして,正しいものを1つ選びなさい。
- 1地方裁判所が鑑定入院を命じる。
- 2地方裁判所において裁判官と精神保健審判員が合議を行い,処遇を決定する。
- 3精神保健参与員が意見を述べる。
- 4多職種チームによる治療を行う。
- 5指定入院医療機関においてCPA会議を実施する。(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
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✓ これが正解1地方裁判所が鑑定入院を命じる。
解説
審判の申立てを受けると、まず地方裁判所が鑑定入院を命じます。
この事例は、医療観察法の手続の順番を問うものです。決め手は、Aさんが心神喪失を理由に不起訴となり、検察官が審判を申し立てた直後という時点です。
医療観察法第34条第1項は、申立てを受けた地方裁判所の裁判官は、この法律による医療を受けさせる必要が明らかにないと認める場合を除き、鑑定その他医療的観察のため、対象者を入院させ、処遇の決定があるまでの間在院させる旨を命じなければならないと定めています。これが鑑定入院です。期間は原則2か月で、必要があれば1か月を超えない範囲で延長できます。鑑定入院の間に、精神科医による鑑定や、社会復帰調整官による生活環境の調査が行われます。
そのあとで、裁判官と精神保健審判員の合議体が、精神保健参与員の意見も聴きながら審判を行い、入院・通院・不処遇などを決定します。入院の決定が出ると、指定入院医療機関で多職種チームによる治療が始まり、CPA会議もそこで開かれます。
覚え方は、申立て、鑑定入院、審判と決定、指定医療機関での処遇、という流れを一本の線で押さえることです。最初に来るのは、判断の材料をそろえるための鑑定入院です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2地方裁判所において裁判官と精神保健審判員…:裁判官と精神保健審判員の合議で処遇を決めるのは、鑑定入院で鑑定や生活環境の調査がそろった後の段階です。申立ての直後に最初に行われることではありません。
- 3精神保健参与員が意見を述べる。:精神保健参与員は、審判の場で処遇の要否や内容について意見を述べる立場の人です。意見を述べるのは審判の段階であり、申立て後すぐに行われることではありません。
- 4多職種チームによる治療を行う。:多職種チームによる治療は、入院の決定を受けて指定入院医療機関に入院した後に行われます。処遇がまだ決まっていない申立て直後の段階には当たりません。
- 5指定入院医療機関においてCPA会議を実施…:CPA会議は、指定入院医療機関に入院した対象者の治療や社会復帰の計画を話し合う会議です。入院の決定が出る前の申立て直後には行われません。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題8。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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