第36回 問題16
社会学と社会システム
次の記述のうち,ウェルマン(Wellman, B.)のコミュニティ解放論の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1特定の関心に基づくアソシエーションが,地域を基盤としたコミュニティにおいて多様に展開しているとした。
- 2現代社会ではコミュニティが地域という空間に限定されない形で展開されるとした。
- 3人口の量と密度と異質性から都市に特徴的な生活様式を捉えた。
- 4都市の発展過程は,住民階層の違いに基づいて中心部から同心円状に拡大するとした。
- 5アメリカの94のコミュニティの定義を収集・分析し,コミュニティ概念の共通性を見いだした。
答えと解説を見る
✓ これが正解2現代社会ではコミュニティが地域という空間に限定されない形で展開されるとした。
解説
コミュニティ解放論は、コミュニティが地域に限られずに展開するとみます。
ウェルマンは、都市化が進んだ現代社会で人々のつながり(コミュニティ)がどうなったかを、社会的ネットワークの観点から論じました。その整理では、コミュニティは失われたとみる喪失論、近隣などの地域で今も保たれているとみる存続論に対して、コミュニティは地域という空間の枠から解き放たれ、離れた場所に住む人どうしのネットワークとして広がっているとみる解放論が示されています。
つまり解放論の要点は、人々の親しいつながりは近所に限られず、交通や通信の発達によって地域を越えて結ばれている、という見方です。したがって、現代社会ではコミュニティが地域という空間に限定されない形で展開されるとした、という記述が最も適切です。
ほかの記述は、別の論者のコミュニティ論や都市論です。コミュニティとアソシエーションの区別はマッキーバー、都市に特有の生活様式(アーバニズム)を人口の量・密度・異質性から説明したのはワース、都市の同心円状の拡大はバージェス、94のコミュニティの定義を比べたのはヒラリーの研究として知られています。
覚え方は、喪失・存続・解放の3つの見方を並べ、解放は地域を越えたネットワークと押さえることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1特定の関心に基づくアソシエーションが,地域を基盤としたコミュニティにおいて多様に展開しているとした。:コミュニティとアソシエーションを区別し、関心に基づくアソシエーションがコミュニティの中に生まれるとしたのはマッキーバーの考え方です。地域を越えるつながりを論じた解放論ではありません。
- 3人口の量と密度と異質性から都市に特徴的な生活様式を捉えた。:人口の量と密度、異質性という3つの要素から都市に特有の生活様式を説明したのは、ワースのアーバニズム論です。コミュニティの空間的な広がりを論じたものではありません。
- 4都市の発展過程は,住民階層の違いに基づいて中心部から同心円状に拡大するとした。:都市が中心部から同心円状に広がり、住民の層によって地帯が分かれるとしたのは、バージェスの同心円地帯理論です。都市の空間の構造についての説明です。
- 5アメリカの94のコミュニティの定義を収集・分析し,コミュニティ概念の共通性を見いだした。:アメリカで使われた94のコミュニティの定義を集め、共通する要素を探ったのはヒラリーの研究です。定義の分析であり、ネットワークとしてのつながりを論じた解放論とは違います。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題16。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)