第36回 問題28
社会福祉の原理と政策
次のうち,エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen, G.)の福祉レジーム論に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1福祉レジームは,残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。
- 2市場や家族の有する福祉機能は,福祉レジームの分析対象とはされない。
- 3スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。
- 4各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。
- 5福祉レジームの分析に当たり,脱商品化という概念を用いる。
答えと解説を見る
✓ これが正解5福祉レジームの分析に当たり,脱商品化という概念を用いる。
解説
エスピン-アンデルセンは、脱商品化という概念を用いて分析しました。
エスピン-アンデルセンは、先進国の福祉国家を比べ、福祉レジームを3つの類型に分けました。自由主義レジーム、保守主義(コーポラティズム)レジーム、社会民主主義レジームです。福祉レジームとは、国家・市場・家族が、人々の生活を支える役割をどのように組み合わせて分担しているかというまとまりを指します。
分類の主な物差しの一つが脱商品化です。脱商品化とは、人が病気や失業、高齢などで働けなくなっても、労働力を市場で売らずに一定の生活水準を保てる度合いのことです。もう一つの物差しとして、社会保障の仕組みが職業や階層の違いをどの程度保つかを示す階層化も用いられました。したがって、福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いるという記述が最も適切です。
この分析は、社会保障支出の多い少ないだけでなく、給付の仕組みの性格という質の違いに注目した点に特徴があります。国の例では、自由主義はアメリカ、保守主義はドイツ、社会民主主義はスウェーデンが代表として挙げられます。
覚え方は、3つのレジームと代表国を組で覚え、物差しは脱商品化と階層化、と押さえることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1福祉レジームは,残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。:残余的モデルと制度的モデルという2つの類型は、ウィレンスキーとルボーが示したものとして知られています。エスピン-アンデルセンは3つの類型を示しました。
- 2市場や家族の有する福祉機能は,福祉レジームの分析対象とはされない。:福祉レジームは、国家・市場・家族が生活を支える役割をどう分担しているかに注目する考え方です。市場や家族の福祉の働きも分析の対象に含まれています。
- 3スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。:スウェーデンは社会民主主義レジーム、ドイツは保守主義レジームの代表として挙げられており、両国は別の類型に属します。同じレジームとする説明は誤りです。
- 4各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。:支出の規模を比べるだけでは国ごとの違いは見えないとして、給付がどのような条件で誰に与えられるかといった制度の性格まで踏み込んで比べたのが、この研究の特徴です。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題28。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)