第36回 問題29
社会福祉の原理と政策
所得の再分配に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1市場での所得分配によって生じる格差を是正する機能を有しうる。
- 2現物給付を通して所得が再分配されることはない。
- 3同一の所得階層内部での所得の移転を,垂直的な所得再分配という。
- 4積立方式による公的年金では,世代間の所得再分配が行われる。
- 5高所得者から低所得者への所得の移転を,水平的な所得再分配という。
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✓ これが正解1市場での所得分配によって生じる格差を是正する機能を有しうる。
解説
所得の再分配は、市場で生じた所得の格差を是正する働きをもちえます。
所得の再分配とは、市場での経済活動によっていったん分配された所得を、税や社会保険料として集め、社会保障の給付などを通じて配り直すことです。市場での所得の分配は、働く力や持っている資産などによって大きな差が生じやすいため、国が仕組みを通じてその差を小さくすることが、再分配の大きな役割の一つです。したがって、市場での所得分配によって生じる格差を是正する機能を有しうるという記述が最も適切です。
再分配にはいくつかの区別があります。高所得の人から低所得の人へ所得が移るのが垂直的な再分配、同じくらいの所得の人の間で、健康な人から病気の人へ、働いている人から失業した人へのように移るのが水平的な再分配です。また、現役世代から高齢世代へのように世代をまたいで移るのが世代間の再分配です。
給付の形も、お金で渡す現金給付だけでなく、医療や介護のサービスそのものを提供する現物給付も、費用の多くを保険料や税で支える点で再分配の手段になります。年金の財政方式では、現役世代の保険料でその時の高齢者の年金をまかなう賦課方式で世代間の再分配が起こります。
覚え方は、上下の移転が垂直、同じ層の中の移転が水平、と方向で区別することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2現物給付を通して所得が再分配されることはない。:病院での治療や介護サービスのように、お金ではなくサービスの形で受け取る給付でも、その財源を負担する人と利用する人が異なるので、実質的に所得が移っています。
- 3同一の所得階層内部での所得の移転を,垂直的な所得再分配という。:同じくらいの所得の人どうしの間で、健康な人から病気の人へのように所得が移ることは、水平的な再分配と呼ばれます。垂直的という呼び方は逆です。
- 4積立方式による公的年金では,世代間の所得再分配が行われる。:積立方式は、自分が納めた保険料を積み立てて、将来の自分の年金に充てる方式です。世代をまたぐ移転が起こるのは、現役世代の保険料で高齢者の年金をまかなう賦課方式です。
- 5高所得者から低所得者への所得の移転を,水平的な所得再分配という。:高い所得の人から低い所得の人へ所得が移ることは、垂直的な再分配と呼ばれます。水平的という呼び方は、同じ所得層の中での移転を指すので逆になります。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題29。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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