第36回 問題114
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,N市社会福祉協議会のM職員(社会福祉士)の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
N市社会福祉協議会は,N市から避難行動要支援者への支援に関して委託事業を受けている。Mは,その事業のコーディネート役を担当しており,N市が海岸線の近くにあり,高台が少ないことから,大地震の際の津波などによる被害を心配している。Mは,日頃から「備えあれば憂いなし」と周りの職員たちに言い,避難行動要支援者を中心にした,平常時からのネットワーキングがN市には必要と考えて,支援活動をしている。
- 1近隣の住民に声をかけ,避難行動要支援者と一緒に避難訓練を行う。
- 2災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
- 3自力で避難できるよう,避難行動要支援者を個別に訪問して指導する。
- 4避難支援等関係者よりも,避難行動要支援者の安全確保を最優先するよう関係者に指示する。
- 5避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ。
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✓ これが正解1近隣の住民に声をかけ,避難行動要支援者と一緒に避難訓練を行う。
✓ これが正解5避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ。
解説
平常時から住民や関係機関と一緒に訓練や確認をする対応が適切です。
この事例の決め手は、Mが大地震や津波に備えて、避難行動要支援者を中心にした平常時からのネットワーキングが必要だと考えている点です。避難行動要支援者とは、災害のときに自力で避難することが難しく、避難に支援が必要な高齢者や障害者などを指します。災害対策基本法の仕組みでは、市町村が名簿を作り、民生委員や消防、社会福祉協議会、自主防災組織などの避難支援等関係者と平常時から備えを進め、いざというときに地域で支えられるようにすることがねらいです。ネットワーキングとは、人と人、機関と機関のつながりを意図的に作り、支え合える状態にしておく働きかけのことです。
近隣の住民に声をかけ、要支援者と一緒に避難訓練を行う対応は、顔の見える関係を平常時に作り、誰がどう手を貸すかを実際に確かめる取組で、Mの考えるネットワーキングそのものです。避難支援等関係機関と一緒に福祉避難所を確認する機会をもつ対応も、関係機関とのつながりと情報の共有を平常時に深めるもので適切です。福祉避難所は、高齢者や障害者など特別な配慮が必要な人を受け入れる避難所です。
2つ選ぶ問ですが、どちらも支援する人と支援を受ける人、関係機関を平常時につなぐという同じ軸で選べます。迷ったら、その対応が人や機関をつなぐものか、本人一人に負担を寄せるものかで見分けると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。:名簿には氏名や住所、必要な配慮といった個人情報が載っています。平常時に外へ出すのは避難支援等関係者に限られ、原則として本人の同意が前提です。地域の全戸に配るのは個人情報の扱いとして不適切です。
- 3自力で避難できるよう,避難行動要支援者を個別に訪問して指導する。:対象は、そもそも自力での避難が難しく支援が必要な人です。一人ひとりを訪ねて自力で逃げるよう指導するのは、地域の支え手とつなぐというMの考えとも逆向きで、ネットワーキングになりません。
- 4避難支援等関係者よりも,避難行動要支援者の安全確保を最優先するよう関係者に指示する。:支援する側が被災してしまえば、支援そのものが続きません。避難支援は支援者自身の安全を確保したうえで行うのが基本で、要支援者の安全を最優先にするよう関係者に指示するのは適切ではありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題114。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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