第36回 問題115
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,Aスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の解決志向アプローチに基づく問いかけとして,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(高校1年生)は,父親,弟(小学4年生),妹(小学1年生)の4人家族である。父親は長距離トラックの運転手で,Bさんは長女として家事と弟妹の世話を引き受けている。ある日,Aスクールソーシャルワーカーに,「家族のためにやれることをやるのは当然だし,喜んでもらえるのもうれしい。でも毎日勉強とバイトと家事で精一杯。これ以上はもう無理かも…」とつぶやいた。AはこれまでのBさんの頑張りをねぎらいながら,以下の問いかけをした。
- 1「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら,どうなると思いますか?」
- 2「最悪な状況を0,何もかも解決したのが10なら,今は何点になりますか?」
- 3「Bさんが『もう無理かも』と思ったのは,どのようなときですか?」
- 4「Bさんが想像する,最悪の事態はどのようなものでしょうか?」
- 5「今,Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」
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✓ これが正解1「もし奇跡が起こって何もかもうまくいくとしたら,どうなると思いますか?」
✓ これが正解2「最悪な状況を0,何もかも解決したのが10なら,今は何点になりますか?」
解説
奇跡の質問とスケーリング・クエスチョンが解決志向の問いです。
解決志向アプローチは、ド・シェイザーやバーグらが発展させた援助の方法で、問題の原因を掘り下げるよりも、クライエントが望む未来の姿や、すでにできていること、もっている力に目を向けて解決を一緒に作っていく考え方です。事例では、Bさんが家族のために頑張ってきたこと、そしてもう無理かもしれないと感じ始めていることが決め手で、Aがまずその頑張りをねぎらっている点も、強みを認めるこのアプローチらしい関わりです。
奇跡が起こって何もかもうまくいったらどうなるかと尋ねる問いは、ミラクル・クエスチョン(奇跡の質問)と呼ばれます。問題が解決した後の具体的な姿を思い描いてもらい、目指す方向をはっきりさせるための問いです。最悪を0、すべて解決した状態を10としたとき今は何点かと尋ねる問いは、スケーリング・クエスチョンです。今の状態を数字で表してもらうことで、すでにできている部分に気づき、あと1点上げるには何が必要かという小さな次の一歩を考えやすくなります。
2つ選ぶ問ですが、どちらも未来や解決の側に視線を向ける問いという共通点があります。問題がいつ起きたか、何が最悪か、原因は何かといった問題の側を掘り下げる問いは、このアプローチの典型ではないと見分けると覚えやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 3「Bさんが『もう無理かも』と思ったのは,どのようなときですか?」:もう無理だと感じた場面を尋ねると、問題が起きる状況をさらに掘り下げることになります。解決志向で使う例外探しの問いなら、反対に少しでもうまくいっていたときを尋ねるのが典型です。
- 4「Bさんが想像する,最悪の事態はどのようなものでしょうか?」:最悪の事態の想像を促すと、Bさんの関心は不安や問題の側に向かいます。望む未来や小さな前進を描いてもらう解決志向の方向とは逆の問いかけです。
- 5「今,Bさんが抱える状況の根本の原因は何だと思いますか?」:状況の根本の原因を探る問いは、原因から結果をたどる問題解決型の発想です。解決志向アプローチは原因を突き止めなくても解決は作れると考え、原因追及を中心に置きません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題115。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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