第37回 問題72
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,この段階のA病院のB医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行った実践モデルやアプローチに関して,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(46歳,男性)は夫婦で生まれ故郷に戻り,5年前から喫茶店を営んでいる。1か月前に,脳出血を患い,A病院でリハビリテーションを受け,数週間後に自宅退院を控えている。BはCさんと退院に向けた面談を行った。Cさんは「左片麻痺があるのは仕方がないとしても,妻もまた一緒にお店をやっていこうと言ってくれているので仕事がしたい。地元の友達も戻ってきたら店に行くよと声をかけてくれているから」と語った。Bは「奥様もお友達もCさんがお店に戻ってこられるのを待っておられるんですね。お店に戻られるまで,どのように暮らしを整えていったら良いか,ご一緒に考えていきましょう」と提案した。
- 1行動変容アプローチ
- 2治療モデル
- 3実存主義アプローチ
- 4生活モデル
- 5課題中心アプローチ
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✓ これが正解4生活モデル
解説
本人の生活と周りとのつながりを軸に暮らしを整えるのは、生活モデルです。
事例の場面は、Cさんの退院を前にした面談で、支援の段階でいえばアセスメントから支援計画づくりへ向かうところです。決め手は、Cさんの言葉とBの応答です。Cさんは、左片麻痺があることを受け止めつつ、妻と一緒に店を続けたい、地元の友達も店に来ると言ってくれている、と語っています。Bは、妻や友達がCさんの店への復帰を待っていることを受け止め、店に戻るまでどのように暮らしを整えていくかを一緒に考えようと提案しました。
生活モデルは、ジャーメイン(Germain, C.)とギッターマン(Gitterman, A.)らが示したもので、生態学の考え方をもとに、人と環境の交互作用に注目します。病気や障害を治すことよりも、その人の生活全体と、家族や地域とのつながりを含めた環境との調和を図ることを重視します。Bは、Cさんの障害そのものではなく、妻や友人とのつながり、店という生活の場を手がかりに、暮らしをどう整えるかに焦点を当てています。したがって、生活モデルが最も適切です。
見分け方は、ワーカーが本人の何に注目しているか、つまり病理や原因なのか、行動なのか、生きる意味なのか、生活と環境なのかを言い当てることです。事例の言葉に、暮らし、家族、地域、生活の場といった語が並んでいれば、生活モデルの見方と結び付けられます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1行動変容アプローチ:行動変容アプローチは、学習理論に基づき、望ましい行動を強めたり問題となる行動を減らしたりして行動を変えることをめざします。Bは行動の修正ではなく、暮らし全体をどう整えるかを一緒に考えています。
- 2治療モデル:治療モデルは、医学モデルにならって問題の原因を調べて診断し、それを取り除くことを重視します。Bは麻痺という障害を治す方向ではなく、妻や友人とのつながりを生かした暮らしの整え方に焦点を当てています。
- 3実存主義アプローチ:実存主義アプローチは、クライエントが苦悩の中で生きる意味を見いだし、自己を取り戻していくことを支えるものです。Cさんはすでに店に戻る目標を語っており、Bの提案も意味の探求ではなく生活の整え方に向いています。
- 5課題中心アプローチ:課題中心アプローチは、クライエントが取り組む課題と期限を明確に決め、短期間で計画的に取り組むものです。Bの提案は、課題と期限を区切ることよりも、生活と環境の全体を整えることに重点があります。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題72。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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