第37回 問題88
高齢者福祉
A社員(社会福祉士)は,B社の総務部門に在籍し,企業内での相談支援を担当している。事例を読んで,AによるCさんへの介護休業制度に関する助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(52歳,無期雇用の正社員,入社後1年4か月)は母親(84歳)との二人暮らしである。この母親は,20日前にインフルエンザにかかり5日間入院した後,現在も自宅療養中であるが,退院後は歩行もできず,排せつや食事摂取に常時の介助が必要となった。要介護認定はまだ受けていない。Cさんは10日前から時間単位で年次有給休暇を取得して母親を介護しているが「仕事を辞めるわけにはいかず,母親の今後の介護はどうすべきか」と悩み,直属の上司からAへの相談を勧められた。なお,Cさんは母親以外に介護が必要な家族・親族はいない。
- 1現時点でのCさんの母親の状態は,介護休業制度の対象に該当する可能性があると助言した。
- 2介護休業を取得するためには,あと2か月の勤務期間が必要と助言した。
- 3介護休業を取得する場合,医療保険制度の介護休業給付が受給可能と助言した。
- 4介護休暇の取得は,年度あたり14日間が可能なことを助言した。
- 5現在の状況では,所定労働時間の短縮の措置を受けることは難しいと助言した。
答えと解説を見る
✓ これが正解1現時点でのCさんの母親の状態は,介護休業制度の対象に該当する可能性があると助言した。
解説
常時介護が2週間以上必要なら、認定前でも介護休業の対象になりえます。
この事例は、企業内の相談支援でCさんから介護と仕事の両立について相談を受け、制度の情報を伝えて助言する段階です。根拠は育児・介護休業法で、決め手はCさんの母親の状態と、Cさんの雇用の条件の2つです。
同法は要介護状態を、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間(2週間以上)にわたり常時介護を必要とする状態と定めています。母親は退院後、歩行ができず、排せつや食事摂取に常時の介助が必要で、退院からすでに2週間ほどたっています。要介護状態かどうかは介護保険の要介護認定を受けたかどうかだけで決まるものではないため、対象に当たる可能性があると伝える助言が適切です。
雇用の条件をみると、Cさんは無期雇用の正社員で、入社から1年以上たっています。期間を定めて雇用される人には契約期間についての要件がありますが、Cさんにはそれがありません。休業のほか、介護休暇や所定労働時間の短縮等の措置も選べることを合わせて伝えると、仕事を辞めずに介護を続ける道筋が見えてきます。
覚え方として、介護休業の対象かどうかは認定の有無ではなく、常時介護が必要な状態が2週間以上続くかどうかで考える、と押さえておくと事例で迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2介護休業を取得するためには,あと2か月の勤務期間が必要と助言した。:法律上、無期雇用の労働者に勤続期間の要件はありません。労使協定で入社1年未満の人を対象から外せる場合はありますが、Cさんは入社後1年4か月なのでそれにも当たらず、あと2か月待つ必要はありません。
- 3介護休業を取得する場合,医療保険制度の介護休業給付が受給可能と助言した。:介護休業給付は雇用保険制度の給付で、医療保険制度から出るものではありません。雇用保険の被保険者が介護休業を取ったときに、休業中の所得を補うために支給される仕組みです。
- 4介護休暇の取得は,年度あたり14日間が可能なことを助言した。:介護休暇は、対象家族が1人なら1年度に5労働日、2人以上なら10労働日が上限です。Cさんが介護する家族は母親だけなので、14日間取れると伝えるのは誤りです。
- 5現在の状況では,所定労働時間の短縮の措置を受けることは難しいと助言した。:事業主は、要介護状態の家族を介護する労働者のために、所定労働時間の短縮等の措置を講じることが義務づけられています。母親が要介護状態に当たればCさんも利用できるので、難しいと伝えるのは適切ではありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題88。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)