第37回 問題98
貧困に対する支援
事例を読んで,Aさんに対する福祉事務所の現業員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
ホームレスの男性Aさん(55歳)は8年前にギャンブルが原因で多額の借金をつくり,会社を辞めて,その後就労しないままホームレスとして生活していた。婚姻歴はあるが30歳の時に離婚して子どもは妻が引き取りその後音信はない。最近,体調も悪くなったため生活保護を申請したいと考え福祉事務所に来所した。長年のホームレス生活のため,収入,資産に関する書類は所有していない。
- 1居住地がないため居住地を定めてから保護申請するように説明する。
- 2稼働年齢層なので就労先を決めてから保護申請するように説明する。
- 3ギャンブルによる多額の借金がある場合には保護申請はできないと説明する。
- 4収入,資産に関する書類がなくても保護申請は可能だとして,申請手続きについて説明する。
- 5保護申請に先立って,子どもへの扶養調査が必要だと説明する。
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✓ これが正解4収入,資産に関する書類がなくても保護申請は可能だとして,申請手続きについて説明する。
解説
収入や資産の書類がなくても申請はでき、手続きを説明するのが適切です。
この事例は、ホームレスのAさんが体調を崩し、生活保護を申請したいと福祉事務所に来所したインテーク(受付面接)の場面です。決め手は、Aさんが申請の意思をはっきり示していることと、長年のホームレス生活で収入や資産に関する書類を持っていないことです。
生活保護法は、保護は要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始すると定めています(申請保護の原則)。申請は国民の権利なので、福祉事務所は申請の意思を示した人の申請を受け付けなければならず、書類がそろっていないことを理由に申請を受け付けないことはできません。収入や資産の状況は、申請を受けた後の調査で確かめます。
そのため現業員は、書類がなくても申請できることを伝えたうえで、申請の手続きや、その後の調査や決定の流れを説明するのが適切です。体調が悪いAさんには、医療が必要かどうかも合わせて確かめていくことになります。
覚え方として、生活保護の要件は申請を受けてから審査するもので、申請の入口で条件をつけてはいけない、と押さえておくと事例の誤りを見抜けます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1居住地がないため居住地を定めてから保護申請するように説明する。:居住地がない人や居住地がはっきりしない人については、現在地を所管する福祉事務所が保護を行うと法律で定められています。住まいを決めてから来るよう求めるのは、申請を事実上妨げる対応です。
- 2稼働年齢層なので就労先を決めてから保護申請するように説明する。:働く力を活用することは保護の要件の一つですが、それは申請を受けた後の審査で判断することです。体調を崩しているAさんに、仕事を決めてからでないと申請できないと伝えるのは、申請権を妨げます。
- 3ギャンブルによる多額の借金がある場合には保護申請はできないと説明する。:生活保護は、困窮に至った理由を問わず、要件を満たせば保護を受けられるという無差別平等の考え方に立っています。ギャンブルによる借金があることを理由に、申請そのものを断ることはできません。
- 5保護申請に先立って,子どもへの扶養調査が必要だと説明する。:扶養義務者による扶養は保護に優先するとされますが、申請の前提条件ではありません。扶養の照会は申請を受けた後の調査として行うもので、25年ほど音信のない子への調査を申請の条件にすることはできません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題98。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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