第37回 問題118
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
事例を読んで,事例分析の視点から見て,クライエントのAさんに関する事例検討会における参加者からの発言のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
地域の居宅介護支援事業所がケアマネジャーを対象とした定例の事例検討会を開催した。事例提供者のB居宅介護支援事業所のCケアマネジャーから,一人暮らしのAさん(85歳)の事例が報告された。CケアマネジャーはAさん宅を訪問した際,近隣住民から「Aさんは約2か月前からゴミ収集のない日にごみ出しをしている」「自分の部屋がわからなくなりマンションの管理人が何度も付き添って帰宅している」という話を聞いていることを参加者に報告し,今後の支援について参加者に意見を求めた。
- 1「Aさんについて近隣住民が困っていることをヒアリングしてはどうでしょうか」
- 2「Cケアマネジャーは,Aさんの強みや状態をどのように捉えていますか」
- 3「まずは,マンションの管理人にAさんの今後についての考えを聞いてみてはいかがでしょうか」
- 4「一人暮らしの継続は難しいので,グループホームの利用を促してはどうでしょうか」
- 5「Aさん自身は,今の状況についてどのようにお考えなのでしょうか」
答えと解説を見る
✓ これが正解2「Cケアマネジャーは,Aさんの強みや状態をどのように捉えていますか」
✓ これが正解5「Aさん自身は,今の状況についてどのようにお考えなのでしょうか」
解説
Aさんの強みや状態のとらえ方と、Aさん自身の考えを問う発言が適切です。
この事例は、ケアマネジャーを対象とした事例検討会で、Cケアマネジャーが近隣住民から聞いた話を報告し、今後の支援について意見を求めた場面です。決め手は、報告の内容が近隣住民や管理人からの伝聞で、Aさん本人についての情報がまだ少ないことです。2つ選ぶ問なので、事例分析の視点からクライエント本人の理解を深める発言を2つ選びます。
事例分析では、クライエント本人を中心に置き、その人の状態や強み、本人の思いを多面的にとらえることが出発点になります。一つ目の、CケアマネジャーがAさんの強みや状態をどのように捉えているかを尋ねる発言は、事例提供者のアセスメントを確かめ、課題だけでなくAさんのもつ力にも目を向けさせる問いかけです。
二つ目の、Aさん自身が今の状況をどう考えているかを問う発言は、周りの人の困りごとからではなく、本人の視点から状況を見直すことを促すものです。本人の思いを確かめずに支援の方向を決めることはできないので、事例検討の場でまず問うべき大切な視点です。
覚え方として、事例検討の発言を見分けるときは、クライエント本人の強み・状態・思いに向いているかどうか、を手がかりにすると選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「Aさんについて近隣住民が困っていることをヒアリングしてはどうでしょうか」:近隣住民の声はAさんの様子を知る手がかりにはなりますが、近隣が困っていることを聴き取る方向に進むと、検討の中心がAさん本人から周囲の困りごとに移ってしまいます。事例分析の視点からは優先度が低い発言です。
- 3「まずは,マンションの管理人にAさんの今後についての考えを聞いてみてはいかがでしょうか」:マンションの管理人は、Aさんの生活を見守ってきた支援者の一人です。しかし、Aさんの今後を考えるうえで本人の意向より先に管理人の考えを聞くのは順序が違い、本人中心の事例分析になりません。
- 4「一人暮らしの継続は難しいので,グループホームの利用を促してはどうでしょうか」:まだ伝聞の情報しかなく、Aさんの状態や思いを確かめていない段階で、一人暮らしの継続は難しいと決めつけ、施設の利用を勧める方向に結論を急いでいます。事例分析の視点として適切ではありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題118。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)