第38回 問題10
心理学と心理的支援
次の記述のうち,アントノフスキー(Antonovsky, A.)が定義した首尾一貫感覚(SOC:Sense of Coherence)の説明として,正しいものを2つ選びなさい。
- 1疾病リスクを特定し,その低減を目的とした理論の一つである。
- 2自分に起こる出来事や状況が理解可能であり,予測可能であるという感覚を含んでいる。
- 3汎適応症候群の一つとして経験される感覚である。
- 4困難なことが起きたら,自分には対処できないというあきらめの感覚である。
- 5自分の人生や自分が経験することには意味があるという感覚を含んでいる。
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✓ これが正解2自分に起こる出来事や状況が理解可能であり,予測可能であるという感覚を含んでいる。
✓ これが正解5自分の人生や自分が経験することには意味があるという感覚を含んでいる。
解説
SOCは、把握可能感・処理可能感・有意味感の三つからなる感覚です。
首尾一貫感覚(SOC)は、アントノフスキーが健康生成論(サルートジェネシス)の中で示した概念です。健康生成論は、病気の原因を探す考え方とは逆に、強いストレスにさらされても健康を保てる人がいるのはなぜかという、健康を生み出す要因に注目します。SOCはその中心にある、人生や世界に対する首尾一貫した感覚で、ストレスにうまく対処する力と結びつけて説明されます。
SOCは三つの感覚からなるとされます。一つ目は把握可能感で、自分に起こる出来事が理解でき、ある程度予測できるという感覚です。二つ目は処理可能感で、困難に対処するための資源が自分や周囲にあるという感覚です。三つ目は有意味感で、人生や経験には意味があり、取り組む価値があるという感覚です。
2つ選ぶ問です。出来事や状況が理解可能で予測可能であるという感覚を含むとする記述は把握可能感にあたり、人生や経験に意味があるという感覚を含むとする記述は有意味感にあたります。この2つが正しい説明です。
SOCは、わかる・できる・意味がある、の三つの感覚と覚えると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1疾病リスクを特定し,その低減を目的とした理論の一つである。:疾病のリスクを特定して減らすことをめざすのは、病気の原因から出発する疾病生成論の発想です。アントノフスキーの考え方は、健康を保つ力の源に注目する点で、これとは出発点が異なります。
- 3汎適応症候群の一つとして経験される感覚である。:汎適応症候群は、セリエが示したストレス反応の経過(警告反応期・抵抗期・疲憊期)を指す概念です。SOCはストレスに対する生体の反応の一段階ではなく、ストレスに対処する力に関わる感覚です。
- 4困難なことが起きたら,自分には対処できないというあきらめの感覚である。:SOCの要素には、困難が起きても周囲の助けを含めて何とか対処できるという処理可能感が含まれます。自分には対処できないとあきらめる感覚は、その反対にあたります。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題10。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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