第38回 問題12
心理学と心理的支援
次の記述のうち,発達障害のあるAさん(10歳,男性)に対して,応用行動分析(ABA:Applied Behavior Analysis)に基づく支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1Aさんの多動の背景には,無意識の欲求があると考え,自由連想法を行う。
- 2Aさんの支援に関わる職員に生じている逆転移への対応を優先する。
- 3Aさんの身体に硬さが現れているようであれば,リラクゼーションを行う。
- 4Aさんの家族を対象としたカウンセリングを行う。
- 5Aさんの行動とAさんの支援に関わる職員の対応との関連性について明らかにする。
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✓ これが正解5Aさんの行動とAさんの支援に関わる職員の対応との関連性について明らかにする。
解説
行動と周囲の対応の関係を明らかにするのが、応用行動分析の支援です。
応用行動分析(ABA)は、行動を、その直前のきっかけ(先行事象)と直後に起こる結果との関係でとらえ、環境の側を調整することで望ましい行動を増やし、困った行動を減らしていく方法です。先行事象(Antecedent)・行動(Behavior)・結果(Consequence)の英語の頭文字をとって、この分析はABC分析とも呼ばれます。無意識や心の内面ではなく、観察できる行動と環境の関係に注目する点が特徴です。
Aさんの行動と、支援に関わる職員の対応との関連性を明らかにするという記述は、職員の対応が行動のきっかけや結果としてどう働いているかを調べるものです。たとえば、ある行動の直後に職員が注目を向けることでその行動が続いている、といった関係を見つけ、対応を変える手がかりにします。これが応用行動分析に基づく支援として最も適切です。
ほかの記述は、精神分析やリラクセーション法、家族への心理的支援といった、別の枠組みに基づく方法です。
行動の前と後に何があるかを観察し、環境を変えて行動の変化をめざす、という点が応用行動分析を見分ける目印です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの多動の背景には,無意識の欲求があると考え,自由連想法を行う。:多動の背景に無意識の欲求を想定し、思い浮かぶことを自由に話してもらう自由連想法は、精神分析の技法です。観察できる行動と環境の関係を扱う応用行動分析とは、前提となる考え方が異なります。
- 2Aさんの支援に関わる職員に生じている逆転移への対応を優先する。:逆転移は、支援者が利用者に向ける無意識の感情反応を指す精神分析の概念です。その対応を優先しても、Aさんの行動がどのような条件で起こり、続いているかを分析することにはなりません。
- 3Aさんの身体に硬さが現れているようであれば,リラクゼーションを行う。:身体の緊張をゆるめるリラクゼーションは、ストレスや不安の軽減を目的とした技法です。行動のきっかけと結果の関係を調べて環境を調整するという、応用行動分析の手順とは別の方法です。
- 4Aさんの家族を対象としたカウンセリングを行う。:家族を対象にしたカウンセリングは、家族関係や家族の心理的な負担を扱う支援であり、応用行動分析の中核ではありません。Aさんの行動と周囲の対応の関係を分析することにはつながりません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題12。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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