第38回 問題75
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,次の記述のうち,A生活支援員(社会福祉士)が行う支援として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
宿泊型自立訓練施設で出会ったBさん(26歳,女性)とCさん(28歳,男性)は,ともに軽度の知的障害がある。2年間の交際をしており,親元を離れて生活したいと思い,3か月前からアパートで一緒に暮らし始めた。二人は結婚を考えているが,Bさんは「親には勝手にすればと言われた。生活費や家事の分担が心配だし,子どもが生まれたら子育てできるのか不安」,Cさんは「親の理解が得られない」と話している。Bさんの親は無関心であり,Cさんの親は結婚することには慎重であることから,親の狭間で二人に迷いが出てきたため,以前からかかわりのあるAに相談に来た。
- 1親たちと本人たちの意見をいずれも尊重できるように話し合いの場をもつ。
- 2本人たちの意思表明を支援するため,生活能力や経済状況をアセスメントし,将来設計の選択肢を整理する。
- 3出産や子育てについて考えるのは時期尚早であるため,結婚後に改めて話しましょうと伝える。
- 4親の支援がなくても生活や育児ができるようにサービスやサポートの調整をする。
- 5本人たちが現実吟味をして他の選択肢を考えられるよう支援する。
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✓ これが正解1親たちと本人たちの意見をいずれも尊重できるように話し合いの場をもつ。
✓ これが正解2本人たちの意思表明を支援するため,生活能力や経済状況をアセスメントし,将来設計の選択肢を整理する。
解説
親と本人の意見を尊重する話し合いの場と、意思表明のためのアセスメントが適切です。
この事例の決め手は、軽度の知的障害があるBさんとCさんが、自分たちで結婚を考え一緒に暮らし始めた一方で、生活費や家事、子育ての不安があり、Bさんの親は無関心、Cさんの親は慎重という、親の間で迷いが出てきたという点です。二人は以前からかかわりのあるA生活支援員に自分たちから相談に来ています。二人の意思決定を支える段階で、何をするかが問われています。この問は適切なものを2つ選ぶ問です。
1つ目は、親たちと本人たちの意見をいずれも尊重できるように話し合いの場をもつことです。二人の迷いは、親の理解が得られないことから生まれています。双方の思いを聞き合う場をつくることで、親の心配の中身が見え、二人も自分の考えを伝えやすくなります。どちらか一方の意見で結論を決めるのではない点が大切です。
2つ目は、本人たちの意思表明を支援するため、生活能力や経済状況をアセスメントし、将来設計の選択肢を整理することです。Bさんが話していた生活費や家事の分担、子育ての不安について、今できていることと支えが必要なことを具体的に確かめ、選べる道を分かりやすく示すことで、二人は自分たちの意思をはっきりさせることができます。
知的障害のある人の意思決定支援では、結論を先に決めず、本人が選べるよう情報と選択肢を整え、周囲の人と話し合う場を用意する、と覚えておくと選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 3出産や子育てについて考えるのは時期尚早であるため,結婚後に改めて話しましょうと伝える。:出産や子育てについての不安は、Bさん自身が相談の中で口にしている心配です。時期尚早として後回しにすると、本人の不安を受け止めないことになり、意思決定に必要な話し合いを妨げます。
- 4親の支援がなくても生活や育児ができるようにサービスやサポートの調整をする。:親の支援がなくても暮らせるようサービスを調整することは、親との関係をどうするかを二人がまだ決めていない段階で、支援者が方向を先に決めてしまう対応です。本人たちの意思決定を支える順序に合いません。
- 5本人たちが現実吟味をして他の選択肢を考えられるよう支援する。:現実吟味をして他の選択肢を考えさせる支援は、結婚という二人の希望を現実的でないものとして別の道へ誘導するおそれがあります。本人の意思を出発点にする意思決定支援の考え方に合いません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題75。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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