第38回 問題74
ソーシャルワークの理論と方法
次の記述のうち,ボルクマン(Borkman, T.)によるセルフヘルプ・グループの「体験的知識」(Experiential Knowledge)と「専門的知識」(Professional Knowledge)に関する説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「専門的知識」では,理論的,標準化された方法やエビデンスよりも実践的であることに価値が置かれている。
- 2「専門的知識」は,メンバーが行動することを通して学び,変化することで培われる。
- 3「体験的知識」では,自分の感情的側面や自己評価が加味されている。
- 4「専門的知識」では,“今,ここ”での具体的な行動と次の観察可能な結果が重視される。
- 5「体験的知識」と「専門的知識」は,相互排他的である。
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✓ これが正解3「体験的知識」では,自分の感情的側面や自己評価が加味されている。
解説
体験的知識には、自分の感情的な側面や自己評価が加味されています。
この問は、ボルクマンがセルフヘルプ・グループについて示した体験的知識と専門的知識の違いを問うものです。二つの知識がそれぞれ何から生まれ、何に価値を置くのかを押さえているかが判断の軸です。
最も適切なのは、体験的知識には自分の感情的側面や自己評価が加味されているという記述です。体験的知識は、病気や障害、依存などの問題を自ら経験した人が、その経験を通して身につけた知識です。そこには、出来事についての事実だけでなく、そのときに何を感じ、自分をどう評価したかといった、本人の内面の体験が含まれています。セルフヘルプ・グループでは、メンバーがこうした体験を語り合い、互いの経験から学ぶことで支え合います。
これに対して専門的知識は、理論や研究にもとづき、標準化された方法やエビデンスに価値を置く知識です。体験的知識は実際の行動を通して学ばれ、今、ここでの具体的な行動とその結果を重んじる実践的な知識とされます。二つは対立して排除し合うものではなく、補い合う関係にあると捉えられています。
体験的知識は経験から生まれる実践的で感情を含む知識、専門的知識は理論と標準化に立つ知識、と対にして覚えると、性質を入れ替えた記述に気づきやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「専門的知識」では,理論的,標準化された方法やエビデンスよりも実践的であることに価値が置かれている。:理論的・標準化された方法やエビデンスよりも実践的であることに価値を置くのは、体験的知識の特徴です。専門的知識は、むしろ理論や標準化された方法、エビデンスに価値を置いています。
- 2「専門的知識」は,メンバーが行動することを通して学び,変化することで培われる。:メンバーが行動することを通して学び、変化することで培われるのは、体験的知識の特徴です。専門的知識は、研究や教育を通して体系的に身につけられる知識とされています。
- 4「専門的知識」では,“今,ここ”での具体的な行動と次の観察可能な結果が重視される。:今、ここでの具体的な行動と次に観察できる結果を重視するのは、経験に根ざした体験的知識の特徴です。専門的知識の説明として述べるのは、二つの知識の性質を入れ替えています。
- 5「体験的知識」と「専門的知識」は,相互排他的である。:二つの知識はどちらか一方しか成り立たないというものではありません。当事者の経験から生まれた知と、理論にもとづく知は、互いに足りない部分を埋め合うものとして扱われ、専門職とグループの協働の土台にもなります。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題74。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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