第38回 問題103
保健医療と福祉
悪性新生物の2000年以降の経年的な動向に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1年齢調整死亡率は減少傾向にある。
- 2粗死亡率は減少傾向にある。
- 3年齢調整罹患率は減少傾向にある。
- 4粗罹患率は減少傾向にある。
- 5主な死因別にみた死亡率では第2位である。
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✓ これが正解1年齢調整死亡率は減少傾向にある。
解説
悪性新生物の年齢調整死亡率は、2000年以降減少傾向にある。
がん(悪性新生物)の統計を読むときは、粗い率と年齢調整した率の違いを押さえることが出発点です。粗死亡率・粗罹患率は、その年の死亡数や罹患数を人口で割っただけの値で、高齢者の割合が増えると、がんの起こりやすさが変わらなくても上がっていきます。年齢調整死亡率・年齢調整罹患率は、人口の年齢構成の違いを取り除き、基準の人口に当てはめて計算した値で、年ごとの比較に向いています。
この区別を当てはめると、高齢化が進んだ2000年以降、がんで亡くなる人の数と粗死亡率は増え続けてきました。一方で、年齢構成の影響を除いた年齢調整死亡率は、喫煙率の低下や検診・治療の進歩などを背景に、減少傾向が続いています。年齢調整死亡率は減少傾向にあるとする記述が正しい記述です。
罹患については、粗罹患率は高齢化の影響で増加しています。年齢調整罹患率も、2000年代から2010年ごろにかけて増加し、その後は横ばいに近い動きで、減少傾向とはいえません。罹患が減っていないのに死亡が年齢調整で減っているのは、早期発見や治療の進歩により、がんにかかっても亡くなる人の割合が下がってきたことを示しています。また悪性新生物は、1981年以降、日本人の死因の第1位が続いています。
粗い率は高齢化で上がる、年齢調整した率で本当の変化を見る、と覚えておくと、この種の統計の問を見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2粗死亡率は減少傾向にある。:がんで亡くなる人の数を、その年の総人口で単純に割った値は、高齢の人が多くなるだけで押し上げられます。2000年以降は高齢化の影響でこの値が上がっており、下がってはいません。
- 3年齢調整罹患率は減少傾向にある。:年齢構成の影響を除いた罹患率は、2000年代から2010年ごろまで上がり、その後も目立って下がってはいません。減っているのは年齢調整後の死亡率であり、罹患の側とは動きが違います。
- 4粗罹患率は減少傾向にある。:人口あたりの罹患数をそのまま計算した粗罹患率は、高齢者が増えるほど高くなります。高齢化が進むなかで粗罹患率は増加しており、減少傾向にはありません。
- 5主な死因別にみた死亡率では第2位である。:悪性新生物は、1981年以降、主な死因別にみた死亡率の第1位が続いています。第2位とする点が誤りで、2位以下には心疾患や老衰などが入っています。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題103。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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