第40回 午前 問20
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
生体エネルギーと代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。
- 2ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。
- 3ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。
- 4電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。
- 5脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。
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✓ これが正解5脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。
解説
脱共役たんぱく質(UCP)はミトコンドリア内膜に存在します。
ミトコンドリアでのATP産生(酸化的リン酸化)は、内膜にある電子伝達系とATP合成酵素の組み合わせで進みます。電子伝達系は、NADHやFADH2から受け取った電子を酸素に渡して水をつくり、その過程で水素イオン(H+)をマトリックスから膜間腔へくみ出します。こうしてできた内膜をはさむH+の濃度勾配に沿ってH+がマトリックスに戻るとき、その流れでATP合成酵素が回り、ADPとリン酸からATPが合成されます。
脱共役たんぱく質(UCP)は、このH+の通り道を内膜に別に開けるたんぱく質です。H+がATP合成酵素を通らずに戻るため、電子伝達とATP合成の結びつき(共役)が外れ、エネルギーが熱として放出されます。褐色脂肪組織のUCP1による熱産生が代表例です。UCPは内膜にあるので、この記述が当てはまります。
ほかに、AMPは高エネルギーリン酸結合をもたず、ATP合成酵素は外膜ではなく内膜にあってH+の勾配で動きます。二酸化炭素は電子伝達系ではなく、ピルビン酸の酸化的脱炭酸やクエン酸回路で生じます。電子伝達系の産物は水、とあわせて覚えておくと取り違えません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。:AMPのリン酸はリボースにエステル結合した1つだけで、高エネルギーリン酸結合をもちません。高エネルギー化合物とされるのは、リン酸どうしが結合したADPやATP、クレアチンリン酸などです。
- 2ATP合成酵素は、ミトコンドリア外膜に存在する。:ATP合成酵素は、電子伝達系の複合体と同じくミトコンドリア内膜に埋め込まれています。外膜は物質を比較的通しやすい膜で、ATP合成の場ではありません。
- 3ATP合成酵素は、細胞内外のCa2+濃度勾配により駆動される。:ATP合成酵素を回す力は、電子伝達系がつくった内膜をはさむ水素イオンの濃度勾配です。細胞の内外のカルシウムイオンの勾配で動く酵素ではありません。
- 4電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。:電子伝達系では、電子が最終的に酸素に渡されて水が生じます。二酸化炭素が出るのはピルビン酸からアセチルCoAができる段階やクエン酸回路の脱炭酸反応です。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午前(厚生労働省)問20(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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