第112回 午後 問49
公衆衛生看護活動展開論
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
Aさん(32歳、女性、B市在住、育児休業中)は子ども2人(長男1歳8か月、長女3か月)と暮らしている。夫は海外に単身赴任中である。Aさんは地区の子育てサロンで地区担当保健師に「育児と家事を1人で担い疲労がたまっている。実家は遠くサポートを得られない。長男が昼寝や就寝の時間に寝ないとイライラして怒鳴ってしまう。暴力は振るっていない。なんとか頑張っています」と話した。地区担当保健師は、日々の頑張りをねぎらい、3日後の家庭訪問の約束をするとともに、保健センターではいつでも電話相談に応じていることを伝えた。
保健センターに戻った地区担当保健師は、Aさんと子どもの情報を収集することにした。
2日後、Aさんから地区担当保健師に慌てた様子で電話があり「私は朝から体調が悪く、昼寝をしない長男にいらだち激しく叩いてしまった。顔が腫れ上がっている。感情のコントロールができず、また長男に暴力を振るってしまいそう。代わりにみてくれる身内も近くにいない」と取り乱している。地区担当保健師はAさん親子と面談するとともに関係機関と会議を行った。
この事例をきっかけに、B市と県では子どもの虐待が発生した家庭での再発防止に関する取り組みを強化することにした。県が重点的に行う取り組みで適切なのはどれか。
- 1保育所との連携強化
- 2親子の再統合に向けた支援
- 3要保護児童のいる家庭の見守り
- 4乳幼児健康診査の未受診者への対応
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✓ これが正解2親子の再統合に向けた支援
解説
県の児童相談所が担う親子の再統合の支援が重点です。
子どもの虐待への対応では、市町村と都道府県が役割を分担しています。児童福祉法第12条で都道府県は児童相談所を設置しなければならないとされ、児童相談所は一時保護や施設入所などの専門的な対応を担います。市町村は、身近な相談や見守り、乳幼児健康診査などの母子保健を通じた支援を担います。
児童虐待防止法第4条は、国と地方公共団体が講ずべき措置として、児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮などをした適切な指導と支援を挙げています。虐待が起きた家庭での再発を防ぐには、一時保護などで分離した子どもが家庭に戻るときに、保護者の養育の力を高め、親子の関係を立て直す支援が欠かせません。これは一時保護や指導を行う児童相談所、つまり県が専門的に担う取組です。
一方、保育所との連携、要保護児童のいる家庭の見守り、乳幼児健康診査の未受診者への対応は、いずれも住民に身近な市町村が中心になって行う取組です。したがって、県が重点的に行う取り組みは親子の再統合に向けた支援です。県は児童相談所による専門的な対応、市は身近な見守りと母子保健、と役割を分けて考えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1保育所との連携強化:保育所の多くは市町村が実施の責任を持ち、入所の調整も市町村が行います。保育所と連携して子どもの様子を見守ることは、身近な市町村が中心になって進める取組です。
- 3要保護児童のいる家庭の見守り:要保護児童のいる家庭の見守りは、市町村が設ける要保護児童対策地域協議会などを通じて、地域の関係機関が日常的に行う取組です。県の児童相談所の専門的な役割とは区別されます。
- 4乳幼児健康診査の未受診者への対応:乳幼児健康診査は市町村が実施する母子保健の事業であり、未受診者への連絡や訪問も市町村の保健師が担います。県が重点的に行う取組ではありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問49(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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