平成31年度 春期 (特別措置試験) 問24
法務
不正指令電磁的記録に関する問題
刑法には,コンピュータや電磁的記録を対象としたIT関連の行為を規制する条項がある。次の不適切な行為のうち,不正指令電磁的記録に関する罪に抵触する可能性があるものはどれか。
- ア会社がライセンス購入したソフトウェアパッケージを,無断で個人所有のPCにインストールした。
- イキャンペーンに応募した人の個人情報を,応募者に無断で他の目的に利用した。
- ウ正当な理由なく,他人のコンピュータの誤動作を引き起こすウイルスを収集し,自宅のPCに保管した。
- エ他人のコンピュータにネットワーク経由でアクセスするためのIDとパスワードを,本人に無断で第三者に教えた。
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✓ これが正解ウ正当な理由なく,他人のコンピュータの誤動作を引き起こすウイルスを収集し,自宅のPCに保管した。
解説
悪用する目的で、ウイルスを集めて持つだけでも罪になりえます。
不正指令電磁的記録に関する罪は、刑法の中に置かれた条項で、ウイルス罪とも呼ばれます。人のコンピュータを思わぬ動きにさせるものを、作ること、配ること、手に入れること、そして持っておくことまでを罰の対象にしています。つまり実際に誰かへ被害を出していなくても、正当な理由がないのに集めて手元に置いた時点で当たります。ウイルスを保管する行為がその形です。設問文にある正当な理由なくという一句が、条文の要件をそのまま示しています。ここでいうウイルスとは、利用者の意図に反する動きをさせる不正な指令を書いたプログラムのことです。他人のコンピュータで実行させる目的で、正当な理由なく手元に置けば、感染させる前でも要件を満たします。研究や対策で扱う場合は理由が立ちます。残る三つは、それぞれ別の法律が受け持つ行為で、四つの肢が四つの法律に分かれています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア会社がライセンス購入したソフトウェアパッ…:会社が買ったソフトウェアを無断で個人のパソコンに入れる行為は、著作権法の問題です。許された範囲を超えて複製したことになります。社内のきまりにも背きますが、コンピュータを誤って動かすプログラムを扱った話ではありません。
- イキャンペーンに応募した人の個人情報を,応…:応募者の個人情報を無断で別の目的に使う行為は、個人情報保護法が禁じています。集めるときに示した目的の外へ持ち出した点が問われます。扱っているのは人の情報であって、誤動作を起こすプログラムではありません。
- エ他人のコンピュータにネットワーク経由でア…:他人の識別符号を無断で第三者に教える行為は、不正アクセス禁止法が受け持ちます。侵入そのものだけでなく、それを助ける行為も対象に含めているからです。入り込む行為そのものではなくても対象になります。
この問題の用語
- 刑法犯罪と刑罰を定めた法律のこと。Webページの改ざんによる業務妨害や、虚偽の情報で不正送金させる行為もこの法律で罰せられます。
- 著作権法著作権の中身と、守られる範囲や例外を定めた法律。どこまでが引用として許されるかも、ここで決まっています。
- 個人情報保護法生きている個人を特定できる情報の扱い方を定めた法律。国籍や、秘密かどうか、企業の顧客かどうかは問いません。
- 不正アクセス禁止法不正アクセスと、その手助けや、他人の識別符号(IDやパスワード)を不正に手に入れる行為を禁じた法律。入り込む前の行為も対象に含みます。
- 電磁的記録電子の方式で作られ、機器で読み取れる形の記録のことです。紙の記録と同じように、法律で保護や処罰の対象になります。
- ライセンスソフトウェアなどを使ってよいと認められた権利や許諾で、台数や期間の条件が付くのがふつうです。ソフトウェアに限ったものをソフトウェアライセンスといいます。
- ウイルスほかのプログラムに入り込んで増える、不正なプログラムです。単独で動くトロイの木馬や、自ら広がるワームとは区別されます。
- パスワード本人だけが知っているという前提で使う合言葉。他人に知られた時点で、本人確認の役目を果たさなくなります。
出典:平成31年度 春期 ITパスポート試験(特別措置試験) 問24
同じ用語が出る問題
- 令和8年度 問21:サイバーセキュリティ基本法の問題(不正アクセス禁止法)
- 令和8年度 問13:匿名加工情報の説明(個人情報保護法)
- 令和8年度 問5:ビジネスモデルに関する問題(著作権法)
- 令和7年度 問30:著作権法に関する問題(著作権法)
- 平成26年度 秋期 (特別措置試験) 問17(刑法)
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