第112回 午前 問114
精神看護学
カンファレンスに関する問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性)は境界性人格〈パーソナリティ〉障害の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。
Aさんは救急外来で治療を受け会話ができるまでに回復した。
Aさんは身体的な治療を受けた後、精神科病棟に入院することになった。入院3日の22時、Aさんがハサミを貸してほしいとナースステーションに来た。日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能という主治医からの指示を伝えると「看護師Bは貸してくれたのに。こんなひどい対応をする看護師はあなただけだ」と話し、その場を動かない。
入院1週、Aさんは看護師ごとに言動や態度を変えることが多く、病棟ではAさんに対して共感を示す看護師と、拒否的な態度を示す看護師に分かれてしまった。そのため、病棟の看護師はチームでの対応についてカンファレンスを行った。
Aさんへの看護師のチームとしての対応で適切なのはどれか。
- 1Aさんと看護師が関わる頻度を減らす。
- 2Aさんに共感を示す看護師に担当を固定する。
- 3Aさんに対する感情を看護師同士で表出しないように統一する。
- 4Aさんの行動が患者-看護師関係にもたらす影響について評価する。
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✓ これが正解4Aさんの行動が患者-看護師関係にもたらす影響について評価する。
解説
Aさんの行動が患者と看護師の関係に与える影響をチームで評価します。
この問は、境界性パーソナリティ障害の人へのチームでの関わりの知識で判断します。境界性パーソナリティ障害の人は、相手によって態度を大きく変え、人を理想化したり、こき下ろしたりすることがあります。この傾向により、看護師の側も、共感する人と拒否的になる人に分かれてしまうことがあり、これをスタッフの分裂と呼ぶことがあります。
Aさんの病棟でも、看護師が共感的な人と拒否的な人に分かれてしまいました。この状態で大切なのは、Aさんの言動が看護師一人ひとりにどのような感情や反応を起こし、患者-看護師関係にどう影響しているかを、カンファレンスでチーム全体として振り返り、評価することです。そのうえで、看護師全員が同じ方針と枠組みで関わるよう、対応を統一していきます。
したがって、Aさんの行動が患者-看護師関係にもたらす影響について評価することが、チームとして適切な対応です。分裂が起きたら、個人の問題にせずチームで振り返り、対応をそろえる、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんと看護師が関わる頻度を減らす。:看護師との関わりを減らすと、Aさんは見捨てられたと感じ、不安や問題となる行動が強まるおそれがあります。治療的な関係を保つことが必要です。
- 2Aさんに共感を示す看護師に担当を固定する。:共感を示す看護師だけに担当を固定すると、Aさんの人を良い悪いに分けるとらえ方がそのまま固定され、病棟の看護師の分裂も深まってしまいます。
- 3Aさんに対する感情を看護師同士で表出しないように統一する。:Aさんに対して看護師が抱く感情は、関係の状態を知る大切な手がかりです。表出しないよう統一するのではなく、カンファレンスで率直に共有し、対応に活かします。
出典:第112回 看護師国家試験 午前(厚生労働省)問114(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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