第26回 問題28
精神保健福祉の原理
Jさん(16歳,女性)は,母親(42歳)と祖母(75歳)の三人暮らしであった。ある日,祖母が認知症のためU精神科病院に入院することになった。U精神科病院のK精神保健福祉士は入院に当たって,母親とJさんと面談をした。母親は離婚後,パート勤務しているが,経済状況は厳しく,二つの仕事を掛け持ちしていた。そのため,母親の帰りは遅く,Jさんが祖母の介護を担っていた。祖母から目を離せない時には,Jさんは高校を休んでおり,周りには相談できる人もいない様子であった。K精神保健福祉士は,Jさんにも専門的な支援が必要であると考え,Jさんの同意を得て関連する機関に連絡をした。
次のうち,K精神保健福祉士が行った活動として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1コーディネート
- 2コーピング
- 3モデリング
- 4ブローカリング
- 5シェイピング
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✓ これが正解4ブローカリング
解説
必要な機関にJさんをつなぐ活動は、ブローカリングにあたります。
事例問題では、K精神保健福祉士が最後に行った行動が決め手です。K精神保健福祉士は、祖母の入院時の面談で、Jさんが学校を休んで祖母の介護を担い、周りに相談できる人もいない様子に気付きました。そこでJさんにも専門的な支援が必要だと考え、Jさんの同意を得て関連する機関に連絡しています。Jさんは、家族の介護などを日常的に担う子ども、いわゆるヤングケアラーの状態にあると考えられます。
ブローカリングは、クライエントが必要としている社会資源やサービスを見極め、それを提供できる機関とクライエントを結び付ける援助技術で、仲介とも訳されます。Jさんはまだ支援を受ける場所につながっておらず、K精神保健福祉士が本人の同意を得たうえで関係機関に連絡したことは、Jさんと必要な支援とをつなぐ仲介の活動にあたります。
他の語は、複数の機関やサービスの間の調整、ストレスへの対処、手本を見て学ぶ方法、目標の行動に段階的に近づける方法を指しており、K精神保健福祉士の行動とは中身が合いません。
見分け方として、クライエントを必要な機関やサービスにつなぐことが中心ならブローカリング、すでに関わっている複数の機関の間を調整するならコーディネート、と区別すると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1コーディネート:コーディネートは、すでに関わる複数の機関やサービスの間を調整し、支援がまとまって提供されるよう整える働きです。Jさんはまだどの支援にもつながっておらず、ここで行われたのはつなぐことそのものです。
- 2コーピング:コーピングは、ストレスのもとになる出来事や、それによる気持ちの動きに本人が対処しようとする方法や過程を指す語です。援助者が行う活動ではなく、本人の側の対処を表す語です。
- 3モデリング:モデリングは、他者の行動を観察し、それを手本にして新しい行動を身に付ける学習の方法です。援助者が手本を示す場面は事例に無く、関係機関への連絡という行動とは中身が合いません。
- 5シェイピング:シェイピングは、目標とする行動に向けて、少しずつ近い行動を強化しながら段階的に形づくっていく行動療法の技法です。関係機関に連絡してJさんを支援につなぐ活動とは別のものです。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題28。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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