第38回 問題126
福祉サービスの組織と経営
次の記述のうち,心理的安全が確保されているといえるサービス提供組織の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1上司が強いリーダーシップを発揮することにより,部下の安心の基盤となる。
- 2組織の安定性を優先させるために,意見の不一致や対立を回避する。
- 3失敗や危惧,疑問などの情報も共有し,組織のパフォーマンスを高める。
- 4職種・職位などに伴う権限を重視したコミュニケーションを行う。
- 5業務改善や新規事業の推進は,発案した人が責任者となる暗黙のルールがある。
答えと解説を見る
✓ これが正解3失敗や危惧,疑問などの情報も共有し,組織のパフォーマンスを高める。
解説
失敗や疑問も共有してパフォーマンスを高める組織は、心理的安全が確保されている。
心理的安全(心理的安全性)とは、組織やチームの中で、自分の考えや疑問、懸念、失敗を率直に口にしても、否定されたり罰せられたりしないと、メンバーが感じられる状態をいいます。エドモンドソンが研究で示した考え方として知られ、チームの学習や成果を高める土台になるとされています。
心理的安全が確保された組織では、職員がミスやヒヤリハット、気になること、分からないことを隠さずに話せます。そうした情報が早く共有されることで、問題が大きくなる前に対応でき、組織全体として学び、サービスの質や組織のパフォーマンスが高まります。失敗や危惧、疑問などの情報も共有し、組織のパフォーマンスを高めるとする記述が、この特徴を最も適切に表しています。
ほかの記述は、むしろ心理的安全を損なう方向の特徴です。上司の強いリーダーシップに頼る組織では、部下が上司の意向に合わない意見を言いにくくなりがちです。意見の不一致や対立を避けることを優先すると、異なる意見が出なくなります。職種や職位の権限を重視したコミュニケーションでは、立場の弱い人の発言が抑えられます。発案した人が責任者になるという暗黙のルールがあると、負担を恐れて新しい提案をためらうようになります。
心理的安全は、仲がよいことや対立がないことではなく、率直に言っても大丈夫だと感じられることだ、と押さえると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1上司が強いリーダーシップを発揮することにより,部下の安心の基盤となる。:上司が強いリーダーシップで引っ張る組織では、部下は上司の考えに合わない意見や懸念を言いにくくなりがちです。心理的安全の基盤は、だれもが安心して発言できる関係であり、上司の強さではありません。
- 2組織の安定性を優先させるために,意見の不一致や対立を回避する。:意見の不一致や対立を避けることを優先すると、職員は異なる考えや懸念を口にしなくなります。心理的安全は、対立がないことではなく、違う意見も安心して出せることを意味するので、この特徴とは逆です。
- 4職種・職位などに伴う権限を重視したコミュニケーションを行う。:職種や職位の権限を重視したやりとりでは、立場の弱い職員が率直な意見や疑問を出しにくくなります。立場にかかわらず発言できる関係こそが心理的安全であり、記述はそれを妨げる特徴です。
- 5業務改善や新規事業の推進は,発案した人が責任者となる暗黙のルールがある。:発案した人が責任者になるという暗黙のルールがあると、負担や失敗の責任を恐れて新しい提案を控えるようになります。提案や挑戦を安心してできる状態とは逆で、心理的安全を損なう特徴です。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題126。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)