令和2年度 10月 午前 問78
法務
送信防止措置に関する記述
プロバイダ責任制限法が定める特定電気通信役務提供者が行う送信防止措置に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア明らかに不当な権利侵害がなされている場合でも,情報の発信者から事前に承諾を得ていなければ,特定電気通信役務提供者は送信防止措置の結果として生じた損害の賠償責任を負う。
- イ権利侵害を防ぐための送信防止措置の結果,情報の発信者に損害が生じた場合でも,一定の条件を満たしていれば,特定電気通信役務提供者は賠償責任を負わない。
- ウ情報発信者に対して表現の自由を保障し,通信の秘密を確保するため,特定電気通信役務提供者は,裁判所の決定を受けなければ送信防止措置を実施することができない。
- エ特定電気通信による情報の流通によって権利を侵害された者が,個人情報保護委員会に苦情を申し立て,被害が認定された際に特定電気通信役務提供者に命令される措置である。
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✓ これが正解イ権利侵害を防ぐための送信防止措置の結果,情報の発信者に損害が生じた場合でも,一定の条件を満たしていれば,特定電気通信役務提供者は賠償責任を負わない。
解説
一定の条件を満たせば発信者への賠償責任を負いません。
プロバイダ責任制限法は、名前のとおり、電気通信の役務を提供する事業者が権利侵害の情報にどう向き合うかを扱う法律で、その中心は事業者に責任を負わせる仕組みではなく、事業者の責任を一定の場面で制限する仕組みにあります。設問はこの法が定める送信防止措置に関する記述として適切なものを選ばせているので、法の中心である責任制限の仕組みに当てはまる記述を選ぶのが筋になります。送信防止の措置を取ったあとに発信者側から損害を主張されても、法の定めるいくつかの条件を満たしていれば、事業者はその損害についての賠償責任を問われません。これが法の要点そのものです。ですから、権利侵害を防ぐための送信防止措置の結果、情報の発信者に損害が生じた場合でも、一定の条件を満たしていれば、賠償責任を負わないと述べる記述が、法の中身に合います。ほかの選択肢は、発信者の事前承諾がないと責任を負うと述べる記述や、裁判所の決定がないと措置を取れないと述べる記述、あるいは個人情報保護委員会からの命令として位置づける記述で、いずれも法の主眼である責任制限の仕組みからずれています。出題当時の法律名はプロバイダ責任制限法です。その後の改正で情報流通プラットフォーム対処法に改められましたが、送信防止措置に関する賠償責任の制限の定めは引き続き置かれています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア明らかに不当な権利侵害がなされている場合…:明らかに不当な権利侵害がなされている場合でも、情報の発信者から事前に承諾を得ていなければ、送信防止措置の結果として生じた損害の賠償責任を負うと述べています。事業者が権利侵害への対応をためらわないようにするという法の主眼と正反対の向きに置いています。
- ウ情報発信者に対して表現の自由を保障し,通…:情報発信者に対して表現の自由を保障し、通信の秘密を確保するため、裁判所の決定を受けなければ送信防止措置を実施することができないと述べています。事業者が自らの判断で措置を取れるという法の枠組みと合わず、必要な手順を過度に狭めた誤りです。
- エ特定電気通信による情報の流通によって権利…:特定電気通信による情報の流通によって権利を侵害された者が、個人情報保護委員会に苦情を申し立て、被害が認定された際に事業者に命令される措置だと述べています。事業者の自主的な判断による措置を扱う法の性格と、命令の主体としての委員会の位置づけが、いずれも合っていません。
この問題の用語
- プロバイダ責任制限法掲示板などでの権利侵害について、事業者の責任の範囲を定めた法律です。侵害を知らずに放置した場合は、賠償の責任が制限されます。
出題当時の情報です(現在との違い)
プロバイダ責任制限法は、2025年4月の改正法施行で「情報流通プラットフォーム対処法」に改称されました(出題時は旧称)。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問78
同じ用語が出る問題
- 令和3年度 秋期 午前 問78:マルウェアに関する問題(プロバイダ責任制限法)
- 平成30年度 秋期 午前 問79:オプトインに関する問題(プロバイダ責任制限法)
- 平成30年度 春期 午前 問79(プロバイダ責任制限法)
- 平成29年度 春期 午前 問79(プロバイダ責任制限法)
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