第61回 午後 問2
理学療法評価学
右肩関節屈曲に関する問題
45歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージ上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅴ。上肢の可動域に制限はない。Danielsらの徒手筋力テストに基づき、右肩関節屈曲の段階4の検査を行う。適切なのはどれか。
- 1検査肢位は背臥位である。
- 2右前腕は回外位とする。
- 3右肩関節屈曲最終肢位で抵抗を加える。
- 4抵抗は上腕骨近位部から加える。
- 5右肘関節の屈曲が出現しないことを確認する。
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✓ これが正解5右肘関節の屈曲が出現しないことを確認する。
解説
段階4の肩屈曲では肘屈曲による代償が出ないことを確かめます。
Danielsらの徒手筋力テストで肩関節屈曲を段階3以上で検査するときの決まりごとが判断の軸です。検査は座位で行い、肘は軽く曲げた位置、前腕は回内位(手のひらを下向き)にして、肩を90度まで屈曲させます。段階4ではその90度屈曲位で、上腕の遠位部(肘のすぐ上)に下向きの抵抗を加えます。
この検査で気を付けるのは、上腕二頭筋が働いて肘関節が曲がることで肩屈曲を助けてしまう代償です。前腕を回外させると上腕二頭筋が肩屈曲を助けやすくなるため、回内位を保ちます。したがって、右肘関節の屈曲が出現しないことを確かめるという記述が適切です。症例はBrunnstrom法ステージ上肢Ⅵで分離運動が可能なので、通常の検査手順をそのまま当てはめてよい状況です。
背臥位、最終肢位での抵抗、上腕骨近位部への抵抗は、いずれも標準の手順とずれています。肩屈曲のMMTは座位・回内位・90度・肘の上を押す、代償は肘が曲がること、とまとめて覚えると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1検査肢位は背臥位である。:肩関節屈曲の段階3以上の検査は、重力に抗して上肢を挙げる力を見るため座位で行います。背臥位は重力の影響を除いた段階2以下を見るときの考え方に近く、段階4の肢位ではありません。
- 2右前腕は回外位とする。:前腕を回外位にすると上腕二頭筋が肩屈曲に参加しやすくなり、代償が混ざります。そのため検査では前腕を回内位(手のひらを下向き)に保ちます。
- 3右肩関節屈曲最終肢位で抵抗を加える。:段階4の抵抗は肩関節90度屈曲位で加えます。最終肢位まで挙げてから押すのは基準の手順ではなく、肩甲骨の動きなども混ざって判定がぶれやすくなります。
- 4抵抗は上腕骨近位部から加える。:抵抗は上腕骨の遠位部、肘の少し上に加えます。近位部を押すとてこの腕が短くなり、同じ力でも負荷が小さくなるため段階の判定が甘くなります。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問2(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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