平成25年度 春期 午前 問80
法務
指揮命令権と雇用契約
発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。ただし,発注者の事業所で作業を実施することになっている。この場合,指揮命令権と雇用契約に関して,適切なものはどれか。
- ア指揮命令権は発注者にあり,更に,発注者の事業所での作業を実施可能にするために,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
- イ指揮命令権は発注者にあり,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく,発注者の事業所で作業を実施する。
- ウ指揮命令権は発注者にないが,発注者の事業所で作業を実施可能にするために,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
- エ指揮命令権は発注者になく,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく,発注者の事業所で作業を実施する。
答えと解説を見る
✓ これが正解エ指揮命令権は発注者になく,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく,発注者の事業所で作業を実施する。
解説
請負なので指揮命令は受注者、雇用も動きません。
四つの記述は、二つの問いの組合せでできています。発注者に指揮命令権があるかどうかと、作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶかどうかで、どちらも無いとする記述が正解になります。まず指揮命令です。請負は仕事の完成を約束する契約であって、労働力を提供する契約ではありません。どう作るか、だれに担当させるかは受注者が決め、作業者へ指示を出すのも受注者の側の管理者です。発注者が直接指示を出してしまえば偽装請負にあたります。労働者派遣であれば発注者の側に指揮命令がありますが、それは派遣の契約を結んだときの話で、この設問の契約ではありません。次に雇用です。作業者はあくまで受注者の従業員のままで、給与も労働時間の管理も受注者が行います。発注者の事業所に居ることは場所の話であって、雇用の話ではありません。紛れは、発注者の事業所で作業するという一文です。目の前に居るのだから指示してよい、と読ませたいところですが、居場所は契約の種類を変えません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア指揮命令権は発注者にあり,更に,発注者の…:指揮命令権が発注者にあるとし、そのうえ作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶとしています。二つの問いの両方を取り違えており、締結した契約の形からいちばん遠い記述です。
- イ指揮命令権は発注者にあり,受注者に所属す…:雇用契約を結び直さないとする後半は合っていますが、前半で指揮命令権が発注者にあるとしています。作業する場所につられて、契約の種類まで読み替えてしまった形です。
- ウ指揮命令権は発注者にないが,発注者の事業…:指揮命令権が発注者にないとする前半は合っていますが、後半で作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶとしています。作業の場所を用意するために雇い直す、ということは起こりません。
この問題の用語
- 請負仕事の完成を約束して引き受ける形のこと。委託先の事業所で働いても指揮命令するのは雇用主で、委託側との指揮命令関係は生じません。
- 指揮命令働く人に仕事の内容や進め方を直接指示する関係のことです。派遣では派遣先が行いますが、請負では発注者ではなく受注した側が行います。
- 請負契約仕事の完成を約束して引き受ける契約のこと。作業の遂行だけを約束する準委任契約と違い、成果物を完成させる義務を負います。
- 作業工程を組み立てる、一つひとつの仕事の単位のことです。開始と終了、所要日数をもち、順序をつないで全体の日程を作ります。
- 雇用契約働く人と会社との間で結ぶ、労働と賃金についての契約です。働く時間や場所、仕事の内容、賃金などの条件を定めます。
出典:平成25年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 春期 午前 問66:準委任型が適切であるとされるもの(請負)
- 令和6年度 秋期 午前 問79:労働者派遣法に関する問題(指揮命令)
- 令和5年度 秋期 午前 問80(請負契約)
- 令和4年度 秋期 午前 問79:指揮命令権と雇用契約(雇用契約)
- 平成25年度 春期 午前 問58:情報セキュリティ管理基準の問題(雇用契約)
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)