平成28年度 春期 午前 問58
システム監査
システム監査に関する問題
クラウドサービスの導入検討プロセスに対するシステム監査において,クラウドサービス上に保存されている情報の消失の予防に関するチェックポイントとして,適切なものはどれか。
- ア既存の社内情報システムとの ID の一元管理の可否が検討されているか。
- イクラウドサービスの障害時における最大許容停止時間が検討されているか。
- ウクラウドサービスを提供する事業者に信頼が置け,かつ,事業やサービスが継続して提供されるかどうかが検討されているか。
- エクラウドサービスを提供する事業者の施設内のネットワークに,暗号化通信が採用されているかどうかが検討されているか。
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✓ これが正解ウクラウドサービスを提供する事業者に信頼が置け,かつ,事業やサービスが継続して提供されるかどうかが検討されているか。
解説
消失を防ぐ鍵は事業者が続くかどうかの見極めです。
この設問を解く鍵は、何に絞って問われているかを先に押さえることです。対象はクラウドサービスの導入を検討する段階、つまりまだ使い始める前の、預け先を選ぶ場面のシステム監査です。そして見るのは、預けた情報が消えてしまうことをどう防ぐかという一点に限られます。消失は、止まってしまうことでも、外へ漏れることでもありません。ここを混ぜてしまうと、四つの記述がどれももっともらしく見えてしまいます。では情報が消えて戻らなくなるのは、どういうときでしょうか。機器の故障や災害であれば、事業者の側に複製があるので戻せます。戻らなくなるのは、預け先である事業者そのものが事業をやめてしまう場合です。預け先が無くなれば、どれほど技術的な対策を積み上げても情報は取り出せません。そしてこれは、契約を結ぶ前の、相手を選ぶ段階でしか手を打てないことです。ですから、事業者に信頼が置けるか、事業やサービスが継続して提供されるかが検討されているか、という見どころが答えにあたります。実務では、撤退するときのデータの返し方や、自社の側でも複製を持つかどうかまで契約で定めます。残る三つの記述は、監査の着眼点としてはいずれも正しいものです。ただし守ろうとしている性質が、消えないことではなく、使えること、漏れないこと、あるいは使い勝手の側にあります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア既存の社内情報システムとの ID の一元…:既存の社内情報システムとのIDの一元管理の可否が検討されているか、という見どころです。認証をまとめられるかという使い勝手と管理の手間に関わる話であり、預けた情報が失われるかどうかには結びつきません。
- イクラウドサービスの障害時における最大許容…:クラウドサービスの障害時における最大許容停止時間が検討されているか、という見どころです。障害という語から失われることを連想しがちですが、これは可用性の観点です。止まっている間は使えなくても、直れば情報は戻ります。
- エクラウドサービスを提供する事業者の施設内…:事業者の施設内のネットワークに暗号化通信が採用されているかどうかが検討されているか、という見どころです。途中で盗み見られることは防げますが、それは漏らさないための備えであって、失わないための備えではありません。
この問題の用語
- システム監査情報システムが安全で正しく使われているかを、担当から独立した立場で点検し報告すること。直すべきところを見つけて伝えます。
- クラウドサービス自社で設備を持たず、事業者が用意したものをネットワーク越しに借りて使う形。借りる範囲によって、SaaS、PaaS、IaaSなどに分かれます。
- 可用性使いたいときに情報や仕組みを使える状態が保たれていること。情報セキュリティの三要素の一つで、システムでは稼働率で表します。
- 情報システム業務に必要なデータを集め、処理し、伝えるための仕組み全体です。コンピュータや通信網だけでなく、それを使う人や業務の手順も含みます。
- 暗号化内容を鍵がなければ読めない形に変換すること。通信の経路だけでは守りきれない場合があるので、ファイル自体にも施します。
出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前 問59:監査人が行うフォローアップ(システム監査)
- 令和7年度 秋期 午前 問55:サービス可用性管理に関する問題(可用性)
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