2025年1月 (特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会・一般社団法人金融財政事情研究会)問16
リスク管理
法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険等に係る保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2024年10月に締結したものとする。
- 1被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
- 2被保険者が役員および従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が被保険者である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
- 3被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族である定期保険の支払保険料は、その役員に対する給与となる。
- 4被保険者が特定の役員、保険金受取人が法人である解約返戻金のない終身払いのがん保険(保険期間:終身、年払保険料:80万円)の支払保険料は、保険期間満了年齢を116歳として計算した保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
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✓ これが正解3被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族である定期保険の支払保険料は、その役員に対する給与となる。
解説
遺族が受取人の特定役員の定期保険料は、その役員への給与です。
法人が契約者となる生命保険の保険料は、だれが保険金を受け取るか(法人か、役員・従業員やその遺族か)と、貯蓄性があるかどうかで、資産計上・損金算入・給与のどれになるかが決まります。
定期保険の被保険者が特定の役員で、死亡保険金受取人がその遺族のときは、法人が払う保険料は実質的にその役員の利益になるため、役員に対する給与として扱われます。この記述が適切です。
終身保険で死亡保険金受取人が法人の場合は、貯蓄性があるため保険料の全額を資産に計上し、損金にはできません。養老保険で死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が被保険者のときは、保険金がすべて役員・従業員の側に入るので、保険料は給与となり資産計上ではありません(満期保険金受取人が法人なら、2分の1を資産に計上する扱いになります)。解約返戻金のない終身払いのがん保険は、最高解約返戻率が50%以下の区分にあたり、原則として保険料を期間の経過に応じて損金に算入するので、60%を資産に計上する処理は誤りです。
保険金がだれの手に入るかを先に見て、法人なら資産、役員・従業員側なら給与、貯蓄性がなければ損金、と整理すると解きやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が…:法人が死亡保険金を受け取る終身保険は、解約返戻金がたまっていく貯蓄性の高い保険です。払った保険料は保険料積立金として資産に計上し、費用として落とすことはできないので、全額を損金とする記述は誤りです。
- 2被保険者が役員および従業員全員、死亡保険…:この養老保険では、死亡保険金は遺族、満期保険金は被保険者が受け取るため、法人には保険金が一切入りません。保険料は役員・従業員への給与として処理され、法人の資産に載せる扱いにはならないので、記述は誤りです。
- 4被保険者が特定の役員、保険金受取人が法人…:解約返戻金がない終身払いのがん保険では、保険期間の前半に資産を積み上げる処理は求められず、払った保険料は期間の経過に応じて損金に入れていきます。前半4割の期間に60%を資産に計上するという処理はこの契約には当てはまりません。
出典:2025年1月 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 学科試験(特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会・一般社団法人金融財政事情研究会)問16(改変:肢の番号をそろえ、表・図を文字に書き写して加工)。解説は当サイト独自のもので、日本FP協会・金融財政事情研究会とは関係ありません。
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