第110回 午前 問35
公衆衛生看護活動展開論
ノロウイルスに関する問題
介護老人保健施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 1発症者と未発症者で居室を分ける。
- 2嘔吐物の処理は十分に乾燥させてから行う。
- 3感染者が使用したリネン類は60℃で1分間の熱水洗濯を行う。
- 4発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。
- 5感染者が使用した非金属製の食器の消毒は次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
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✓ これが正解1発症者と未発症者で居室を分ける。
✓ これが正解5感染者が使用した非金属製の食器の消毒は次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
解説
発症者の居室を分け、食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
ノロウイルスは、少ないウイルス量でも感染し、感染者の便や嘔吐物から手指や物を介して、また乾いた嘔吐物などが舞い上がることでも広がります。施設内で集団発生したときは、感染源の封じ込めと、ウイルスに有効な消毒を確実に行うことが対策の中心です。
発症者と未発症者で居室を分けることは、発症者の便や嘔吐物から周りの人への接触の機会を減らす対策で、適切です。また、ノロウイルスにはアルコールが効きにくく、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。厚生労働省のノロウイルスに関するQ&Aでも、食器等は食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液などに十分浸して消毒するとされています。この2つが正しい対応です。
一方、同じQ&Aは、ノロウイルスは乾燥すると空中に漂いやすくなるため、嘔吐物は乾燥しないうちに速やかに処理するとしています。リネン類の消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しているとされ、60℃では足りません。また、症状がなくなっても通常1週間程度、長いときには1か月程度ウイルスの排泄が続くことがあるため、調理従事者は症状が改善した後もしばらくは直接食品を取り扱う作業をしないようにすべきとされています。
覚え方として、ノロウイルスは、次亜塩素酸ナトリウム、85℃1分以上、乾く前に処理、症状が消えても排出が続く、の4点を押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2嘔吐物の処理は十分に乾燥させてから行う。:乾いた嘔吐物は細かい粒子となって空中に舞い上がり、吸い込むことで感染が広がるおそれがあります。手袋などを着けて、濡れているうちにすぐ片づけるのが原則です。
- 3感染者が使用したリネン類は60℃で1分間の熱水洗濯を行う。:熱水による消毒は温度と時間の両方が条件で、示されている目安より低い60℃ではウイルスを確実に不活化できません。温度の条件が足りていない点が誤りです。
- 4発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。:下痢や嘔吐が治まった後もしばらくは便にウイルスが出続けます。調理に携わる人が症状の消えた日から食品に直接触れる作業へ戻ると、食品を通じて感染を広げるおそれがあります。
出典:第110回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問35(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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